「ラザルスがこのようなオペレーションを実行しているということは、そこでITスペシャリストが働いていることを物語っている。彼らは詐欺師だが、ハイレベルの詐欺師であり、彼らには多くの国に共犯者がいる。米国の情報機関はラザルスを『高度で持続的な脅威(advanced persistent threat)』として分類している。これは、危険なサイバー攻撃の脅威をつくり出すことを可能にする現代レベルの専門知識と重要なリソースを持った敵を意味する。多くの場合、1回の攻撃でハッカー集団を特定するのは難しい。しかし、情報機関はハッカー集団をサーバー、標的、ツールごとに追跡して、書類を作成している。
一方、ハッカーが自国の情報機関の支援を受けて任務を遂行していることも珍しくない。そのようなハッカーを正社員として採用することはできないが、彼らのスパイウェアが、たとえば国家の軍事技術ポテンシャルの強化に貢献している場合、情報機関は彼らの悪だくみを見て見ぬふりをしている。しかし、ここにはトリックもある。米国は、ロシアのハッカーがヒラリー・クリントン元米国務長官のメールサーバーに侵入したとして非難した。その非難がどのようなものだったかを誰もが覚えている。しかし最終的に、これは単独で活動していた『グシファー』というハンドルネームのルーマニア人ハッカーの仕業だったことが判明した。また別のケースもある。米連邦捜査局(FBI)は、ベラルーシでサイバー犯罪者の逮捕を手助けした。『サトシ』というハンドルネームで活動していたハッカーは、盗んだアカウントの膨大な数のデータベースを作成し、それらを販売していた。捜査情報によると、ハッカーは米国だけで30万回以上のサイバー攻撃を実行した。日本が発動したラザルスに対する制裁については、彼らの活動を阻止するためのプロセスの形式化だと思われる」