【視点】2023年G7サミット開催地に広島が選ばれたのは偶然ではない 日本はG7次期議長国

今年6月、日本は国連安全保障理事会の非常任理事国に選出された。来年1月から2年間の任期を務める。また来年2023年にはG7の議長国がドイツから日本へ引き継がれる。日本にとって7回目の議長国となる。2023年のG7サミットは広島で開催される予定だが、具体的な日程はまだ発表されていない。G7は憲章を持たず、国際条約にも基づいていないため、国際機関ではない。その決定に法的効力はないが、何らかの国際問題について合意した方針をとるという参加国の意向を示している。この2つの出来事は、日本が自国の議題を進めるための足掛かりとなるのだろうか?
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日本の岸田文雄首相は今月10日の記者会見で「来年のG7広島サミットでは、武力侵略も、核兵器による威嚇も、国際秩序の転覆の試みも、断固として拒否をするというG7の強い意志を歴史に残る重みを持って示したいと考えている。そうした考えの下、対ロシア制裁並びに対ウクライナ支援、周辺国への協力など、G7各国と協調しながら、引き続き強力に推進していきたいと考えている」と述べた。
また岸田氏は、日本はアジア唯一のG7メンバーだが、欧州とインド太平洋地域の安全保障を切り離して論ずることはおそらく意味をなさないという考えを強調した。続けて同氏は「中国との関係では今後とも首脳レベルを含め、あらゆるレベルで緊密に意思疎通を行い、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ対話を重ねていく、建設的かつ安定的な関係構築に向けて、双方で努力していきたいと考えている」と述べた。
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日本の林芳正外相は11月、G7外相会合が開かれたドイツで参加国の外相らと相次いで会談した。G7外相会合では、日本が議長国を務める次回サミットで議論するテーマの範囲などが鮮明になった。
林氏は記者会見で「我が国としては、来年のG7議長国としてウクライナやインド太平洋等の地域情勢、さらにはグローバルな課題への対応における議論をしっかりと主導していきたい」と述べた。
ロシア戦略研究研究所のミハイル・スモリン副所長は、国連安保理非常任理事国は名誉ある地位ではあるが、法的にはしがない地位だとの考えを示している。
「その理由は、この地位を持つ国は拒否権を有していないことにある。G7に関して言えば、ここで日本には議長国として自分たちが極めて重要だと考える問題に注意を喚起する大きなチャンスがある。もちろん、サミットの議題は前もって形作られ、それは、あれこれの歴史的中間点で人類が経験している課題に基づいている。それは戦争や平和、エネルギーや食料安全保障、人口移動や気候の問題などの可能性がある」
一方、スモリン氏によると、予定していなかったテーマが議題に「割り込む」ことがあるという。スモリン氏は、同じく日本がG7議長国を務めていた1986年にチェルノブイリ原子力発電所で事故が発生したことに言及した。同氏は、日本は現在、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展を非常に懸念しているほか、ウクライナの原子力発電所の安全性を巡る状況にも注目していると指摘し、次のように語っている。
「通常、議題はサミット開催の5~6カ月前に議長国が提案する。その後、その他の国と合意が図られるが、これは常にスムーズにいくというわけではない。提案したすべての議題が他の国の支持を得るということはなく、ふるいにかけられて残った問題はときおり大きく変更されたり、なかには根本的に変えられるものもある。そしてこの調整において、議長国、今回の場合は日本に大きな役割が与えられている。私は、次回の第49回サミットの開催地に広島が選ばれたのは偶然ではないと思っている。広島は、民間人に対して核兵器を使用した野蛮な行為の象徴だ。
もちろん、これは日本にとって非常にデリケートな問題だが、核兵器の問題を懸念しているのは日本だけではない。したがって日本は、核兵器使用の脅威は容認できないということや、さらには核軍縮のテーマを議題に挙げる可能性がある。おそらく日本は、ロシアとウクライナの和解に関する問題を提起することにも反対しないだろう。なお、そのような試みはG7の一部参加国によって非公式に行われた。なぜなら、対ロシア制裁を巡る状況は世界経済に悪影響を及ぼし始めているからだ。たとえば、欧州は自らを困難な経済状況に追い込んだ。欧州の『幸福』は、安価なロシア産ガスとともに終わった。今のところ、この『地政学的な袋小路』から抜け出す方法を私は見いだしていない。紛争当事者は妥協する用意がない。一方、G7の決議が常に行動の指針になるわけではない…」
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