国連、米提案でイランを女性の地位委員会から排除 ロシア代表「危険な前例」と警告

国連経済社会理事会(ECOSOC)は14日、その機能委員会にあたる「国連女性の地位委員会」からイランを排除する決議を採択した。イランが女性の権利を侵害しているとして米国が提案し、日本、英国、イスラエルなど29カ国が賛成。ロシア、中国など8カ国が反対、16カ国は棄権した。
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イランでは髪を覆うスカーフのかぶり方が不適切だとして道徳警察に拘束されたマフサ・アミニさん(当時22歳)が急死したことを発端に、9月から政府への抗議デモが起こっている。決議ではこの事件を念頭に、「女性や少女の人権、意見を自由に表現する権利の抑圧や、度重なる過度な実力行使など、9月以降のイランの動きに深刻な懸念を示す」などとしている。
この決議により、イランは「国連女性の地位委員会」の委員国としての残りの任期(2026年まで)を剥奪されることとなった。
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同委員会は女性の権利拡大や男女平等のために各国が協議する国際機関。ECOSOCが選出した45カ国が委員国となっており、任期は4年。一方、ECOSOCは国連総会から選出された54カ国からなる上位組織。安全保障理事国とは違い、5大国も拒否権は持たず、1国1票の多数決制となっている。
ロシアの国連次席代表を務めるゲンナジー・クジミン氏は決議が「非常に危険で望ましからぬ前例となる」と警告し、次のように述べている。

「何のために今日集まったのか?それは米国が忠実な共犯者とともに、自らの政治的敵対者の信用を貶め、押しつぶすためだ」

また、クジミン氏は英、独、仏、ポーランドなどで治安機関がデモ隊を鎮圧した際にはECOSOCは動かなかったと指摘。また、米国で起こった警察官による黒人男性射殺事件や、昨年1月の抗議活動の際に米議会で退役軍人の女性が警官に射殺された事件を引き合いに出し、自国の現状を棚上げしてイランを批判する米国のダブルスタンダードを批判した。
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