新型コロナによる問題の複雑化
発達した社会は少子化を「保障する」のだろうか?
「日本は発展したハイテク国家の一つです。しかし、たとえこのような『ボーナス』を約束しても、少子高齢化は他でもないこうした生活水準の高い国に特徴的なものです。日本はこの意味においては例外ではありません。とはいえ日本ならではの事情もあります。日本社会では、子どもは良い意味で一種の「投資」と考えられています。
しかし、その投資による『配当』を得る時期はかなり長期的なものになります。しかしながら、子どもに対する巨額の投資はいますぐ必要なのです。というのも、先進国では、親は子どもに最良の教育や知識を与えたいという気持ちが基礎となっており、それには必ず、多額の費用が必要となるからです。
一方で、より貧しい国々発展途上の国では、子どもは何より、家庭の労働力と捉えられています」。
西側の価値観による影響
「西側の社会と同様、フェミニズムの台頭によって、日本人女性も、キャリアを優先して、出産を控えるようになっています。しかも、日本では男性に対する高収入の役職に関する大きな問題があることも、出産を控える傾向を生んでいます」。
若者への「負担」と経済への「リスク」
「非労働人口が労働人口を大きく上回ります。そうなると、所得税の増税が必要となり、国家予算において社会保障への拠出がかなり大きくなります。日本の『年齢ピラミッド』は現在、壺型になっています。
つまり、労働人口が年金支給者の人口を補うスピードに追いついていません。しかも、この問題は、日本が世界でも最大規模の国の借金を抱えていることでより複雑なものになっています。この国の借金返済に予算のおよそ25%が充てられています。
つまり、状況が短期のうちに抜本的に変化しなければ、今後、より少なくなっていく労働力を持つ若い世代の肩に計り知れない負担がのしかかることになるのです。社会支出、国の借金の返済額は大きくなるばかりなのです」。