酔っ払った状態で運転すると、ドライバーが反応するのにかかる時間が平均して120ミリ秒長くなる。つまり通常の状態で運転するよりも反応が遅れるということだ。そのため、ドライバーが車のブレーキをかけてから完全に停止するまでの距離(制動距離)は、通常より伸びる。例えば、時速100キロメートルで車を走らせた場合、制動距離は4メートル長くなる。
しかし、車のタイヤが摩耗していると、制動距離は飲酒運転時の7倍にもなる。英カーディフ大学が行った実験結果によると、タイヤの表面に刻まれた模様(トレッド)の幅は通常は4ミリだが、摩耗がかなり進むと1.6ミリほどになる。この状態における制動距離は、最大で26メートルも長くなる。
同大学のステイプルトン教授は、「毎年、我々は英国の多くのドライバーに対してタイヤの溝の幅があまりにも小さくなっていないかどうか注意するようにとアドバイスしているが、残念ながら大部分のドライバーは、法定規定値なのだから大丈夫だろうと思い込んで運転している。摩耗が進めば進むほど、その危険性は増すばかりなのだ」と、摩耗が進んだ状態のタイヤを使い続けることに対して警告している。
さらにステイプルトン氏は、「トレッドが1.6ミリしかないタイヤが法定規定値内であっても、制動距離が伸びることを考えると、この規定値は基準として相応しくないことを明確に示している」と述べている。
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