【解説】ソ連の「UAZ-469」の能力は英国のランドローバー「ディフェンダー」を上回る

ジープUAZ-469の特別シリーズ
ジープUAZ-469の特別シリーズ - Sputnik 日本, 1920, 23.11.2022
サイン
11月初旬、ロシアの都市ウリヤノフスク(モスクワから東へ約900キロ先)で、ソ連時代から愛されているレジェンド級のジープ「UAZ-469」の生産50周年を記念した特別シリーズの公式発表会が行われた。
UAZ-469は、世界でも数少ない「本物」のジープ。気取らず、軍隊を思わせる獣のような外観で、パワフルなサスペンションとハードホイールのオフロードタイヤを備えている。また、電子機器が必要以上に搭載されていることはない。
このジープは、「戦車しか通らないような」過酷なオフロードや、「どんな戦車も踏み込めないような」場所でも走ることができる。舗装された道路が比較的少なく、山や草原、砂漠、ツンドラ、密林、川があるロシアや世界の多くの国(キューバやアフリカ数カ国)ではUAZ-469が愛されており、今でも使用されているのはこういう理由に基づいている。現在でもベトナムや軍隊で、数種類に及ぶこのジープの改造型を目にすることができる。
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UAZ-469(と、その改造型「UAZ-Hunter」)は、驚異的なクロスカントリー能力を持ち、車内のインテリアは最小限なものにとどめている。騒音と揺れも抑えられており、古風なデザインで仕上げられている。

UAZ-469の開発の歴史

1956年、ウリヤノフスクに位置する「ウリヤノフスク自動車工場(UAZ)」は、ソ連国防省から新しい軍用ジープの開発を受注した。しかし、求められた技術仕様は非常に厳しいもので、地上高は400ミリメートル超、戦車と同じホイールトラック、四輪独立懸架、荷台と客台はフェートン型(幌は簡単に取り外し可能)、7人乗り、積載量800キログラム、無反動砲や重機関銃を搭載可能というものだった。さらに、このジープは軍用トレーラー「GAZ-704」、軽砲、迫撃砲、エアフィールドランチャー、フィールドキッチン(移動式調理機材)を牽引できる必要があった。

ソ連製ジープの能力は、有名なランドローバー「ディフェンダー」を上回った

1960年には、依存型サスペンションと独立型トーションバー式サスペンションの2種類のプロトタイプが作られた。翌年の1961年には、UAZ-469の最初のサンプルが発表された。フレームは「UAZ-450」から、エンジンは「ヴォルガGAZ-21」(75馬力、ガソリンMON-72/MON-76)から流用された。2つの燃料タンクにより最長800キロメートルの航続距離を実現。トランスファーケースとダウンシフトを一体化した4速マニュアルトランスミッション。取り外し可能なフロントアクスル、4輪にホイールリダクションギアが装備されている。また、このジープは核爆発の電磁パルスからも保護される。最も重要なのは、電波障害を発生させないのだ。まさに、軍隊に必要なのはこの車両なのだ!
試験場で行われた長距離テスト走行では、このソ連の新型ジープは、安定性やオフロードでの機動性において、当時伝説的な存在だった英国のランドローバー「ディフェンダー」を上回った。
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このジープの改良を進めていた時期には、車輪の駆動ギアをなくし、従来の電気機器を搭載した商用車「UAZ-469B」も開発されていた。
「UAZソルダット(兵士の意)」と「UAZクレスチアニン(農民の意)」の2台のジープが登場した。「UAZ-469」はソ連時代、その後のロシアで「ヤギ」という愛称で呼ばれているが、これは比較的短いホイールベースと硬いスプリングサスペンションにより、未舗装路を走行すると車体が大きく跳ね、文字通り乗る人の「心を揺さぶる(飛び跳ねる山羊のような)」感触からきている。
しかし、新型シリーズのリリースには、さまざまな理由から10年の歳月を要した。1972年12月15日、UAZ-469シリーズの最初のジープがウリヤノフスク自動車工場のコンベヤを離れた。これは商用車の「UAZ-469B」のことであり、車輪の駆動ギアを持つ軍用の469Bは1973年夏から生産が開始した。
UAZ-469は長い歴史の中で何度も改良を重ね、最終的には多少なりとも快適になった全地形対応車「UAZ-Hunter」が登場した。この車には、全金属製の5ドアボディ、最新のパワーユニット、2.7リットルのガゾリンエンジン、112〜143馬力、燃料はガソリン、5速マニュアルのギア、パワーステアリング、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)、内装は「民間向けの」のものとなっている。
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UAZ-469のリリースから半世紀

最近、ウリヤノフスク自動車工場は、本格的な全地形対応車のファンに向けて、UAZ-469の特別シリーズを発表した。
© 写真ジープUAZ-469の特別シリーズ
ジープUAZ-469の特別シリーズ - Sputnik 日本, 1920, 23.11.2022
ジープUAZ-469の特別シリーズ
この特別シリーズは、UAZ-469が持つ従来の特徴である折りたたみ式テールゲート、トランク内の折りたたみ式シート、取り外し可能な金属ルーフの代わりに取り付け可能な折りたたみ式ソフトオーニングが装備されている。車体の側面と後部にはクロームメッキのプレートとシリアルナンバーが取り付けられている。
特別シリーズのボディとダッシュボードは、ダメージに強いラプター塗装で仕上げられている。このシリーズは四輪駆動であり、112仏馬力のエンジン、5速マニュアルのギアボックスやデフロックが搭載されている。 燃料タンクは2つ。内装は黒色で、シートはフェイクレザー、ドアのパーツはプラスチック製。運転席・助手席にはシートヒーターが備わっている。
UAZ-469のダッシュボード
ダッシュボード - Sputnik 日本, 1920, 23.11.2022
UAZ-469のダッシュボード
UAZ-469の特別シリーズは販売店に手数料を支払うことなく購入できるが、そのためにはウリヤノフスクの工場に行く必要がある。当然のことながら、現状では「遠い国」に住む外国人が購入することは難しいので、この特別シリーズは、ロシアとその近隣の友好国で利用されることになる。
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