スイスのローザンヌ工科大学の研究者らによると、マウスも人間と同じように高齢になると、動かなくなり筋肉量や筋力が低下する。その筋力の低下は、筋肉にセラミドが蓄積されることが背景にあることがマウスを使った研究で明らかになった。
研究者らによると、脂肪酸やアミノ酸をセラミドに変換するのに必要なSPTタンパク質などの活性が上昇すると、筋肉内でセラミドが蓄積するという。そこでマウスにセラミド生成阻害剤(ミリオシンおよび合成阻害剤タケダ-2)を用いたところ、加齢に伴う筋肉量の減少を防ぐことができたという。
阻害剤を投与されたマウスの筋肉はより強くなり、弾力が増していった。研究者らによると、セラミドの生成を阻害することで筋幹細胞が活性化し、筋肉の成長と再生が促進されたという。
そこで、研究者らは、フィンランドのヘルシンキに住む数千人の男女を対象に調査を行った。その結果、対象者の25%にはセラミドの生成を抑える特殊な遺伝子があることがわかった。この遺伝子を持っている人は、他の人より長い距離を走ることができ、より強い筋力をもっている。
研究者らによると、セラミド生成阻害剤が筋肉の老化を遅らせるのに有用であるとして、すでに製薬会社との協議を始めたという。
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