アジアに近づくほど高い露産石油 「一律価格ではない」と専門家

海上輸送されるロシア産石油への割引価格は積み出しする港によって異なっており、全ての露産石油が一律価格で取引されているといった認識は正しくない。国家エネルギー安全保障基金のチーフアナリストを務めるイーゴリ・ユシコフ氏はこう指摘する。
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米ブルームバーグはこのごろ、6日にプリモルスク(レニングラード州)から出荷されたロシア産石油のブレンド・ウラル原油が1バレル=37.8ドルで取引されたと伝えた。一方、同日の欧州の原油価格の指標・英ブレントは1バレル=78.57ドルだとしている。
ユシコフ氏はこの報道について、次のように記事を読む際の注意点を指摘する。

「ブルームバーグの記事は詳細をよく検討しなければならない。見出しではロシア産石油が1バレル=38ドルまで下がったと書いてあるが、サイト内をかき回して探せば具体的にどこの港でどの取引でいくらだったかが分かるようになっている(ブルームバーグ電子版では記事のほかに、各タンカーに積まれた石油の取引額の統計データも公開されているという)。

 現在はアジア市場から離れるほど、ロシア産石油の割引額が大きくなるという傾向がある。例えば同じウラル原油でも南部のノボロシースクでは割引額が少ない。だから、ロシア産石油が現在、一律で38ドルと考えるのは正しくない」

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ユシコフ氏はロシア産原油がこの値段で売買されているのは、西側諸国による制裁が一定の影響を及ぼした結果だとみる。昨年12月5日にロシアに対して2種類の制裁が発動されており、1つは欧州連合(EU)によるロシア産石油の禁輸措置、2つ目は上限価格の導入となっている。
一方、楽観的な見方もあるという。昨年3月以降、欧州がロシア産石油を避け始めてから、従来の顧客を失ったロシアはアジア市場へ急シフト。はじめは割引額を大きくして買い手を取り戻し、現在では割引額も徐々に減少している。割引額の最大値は1バレルあたり35ドルだったが、昨年12月1日時点では同18ドルにまで下がっている。ユシコフ氏は「こうしてアジア市場で販路拡大を目指すことで、輸出量も回復していくだろう」と締めくくっている。
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