公開討論冒頭、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「武力の行使や威嚇によって他国の領土を併合することは、国連憲章や国際法違反だ」と指摘し、「法の支配を保つことがこれまで以上に重要だ。すべての加盟国に責任がある」と訴えた。
続いて日本の林外相は「われわれはヨーロッパでの侵略戦争や、アフリカから中東、中南米、アジア太平洋に至る紛争や地政学的緊張に見舞われている。安保理に求められる期待は以前よりはるかに大きくなっているが、その存在意義を問う声が聞こえてくる」と述べ、「大小を問わずすべての国連加盟国は法の支配の下でこそ野蛮な力の恐怖から自由になることができる」と指摘した。
一方、ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は西側がそもそもウクライナ危機を調停するつもりがなかったと反論した。
「こうした出来事の直接的参加者であるアンゲラ・メルケルとフランソワ・オランドが最近になって認めたことから明らかな通り、西側は全く調停する気がなかった。ミンスク合意は彼らが自ら認めている通り、ウクライナに外国の兵器と傭兵を供与し、戦闘行為に向けた準備をさせるために必要だった。ピョートル・ポロシェンコも同様の発言をしている。こうした体系的で恐ろしい欺瞞を踏まえれば、〈平和達成〉というスローガンをかかげて権力を手にしたウォロディミル・ゼレンスキーが自らに課せられたベクトルを継続し、この破滅に自らの国を陥れていることは驚くに当たらない」
メルケル氏は昨年12月、独紙「ディー・ツァイト」からの取材に対し「2014年に締結されたミンスク合意は、ウクライナ軍を増強するのに時間的猶予を与えるための試みだった」と述べた。これを受け、オランド元大統領もこの発言に同意した。メルケル氏はその際、ミンスク合意の締結時に、NATO諸国がウクライナに対し現在ほどの支援を行えたかどうかは疑わしいと指摘した。
ロシアのプーチン大統領は、このメルケル氏の発言について、予期せぬものであり、落胆させられるものだったと述べた。 国連はこれらの欧州の元指導者らの発言は歴史研究家やジャーナリストに対するものだとしてコメントを差し控えている。
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