【視点】ウクライナへの戦車供与は欧州を戦争に引き込む=元オーストリア副首相

2017~2019年にオーストリアの副首相を務めたハインツ=クリスティアン・シュトラッヘ氏が、ドイツによるウクライナへの主力戦車「レオパルト2」の供与決定についてスプートニクのインタビューに答えた。このなかでシュトラッヘ氏は、今こそ紛争の拡大を防ぐために国際社会が動く必要があると訴えた。
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シュトラッヘ氏はスプートニクのインタビューで次のように述べている。

「ドイツ国民の大部分は、ショルツ首相と緑の党選出のベルボック外相の連邦政府が戦車供与を決定したことに動揺している」

連立政権を組む2党とその党首は、戦闘が行われている地域への兵器供与をしないと選挙前の公約として掲げていた。これを破る形で戦車供与を決定したことで、ドイツ国民にはショルツ政権への不信感が渦巻いているという。

「平和へのイニシアチブ、和平対話を推し進める代わりに、ドイツ政府は戦争のエスカレーションを支持する立ち位置をとってしまった。多くの国民はこれを『戦争支援』とみなし、大きな懸念を引き起こしている」

【解説】なぜロシア人はレオパルト戦車を恐れないのか、ロシアの戦車の特徴とは何か?
シュトラッヘ氏は、ロシアにとってドイツ政府による戦車の供給は「交戦国」の行為として位置づけ、評価することができるとも指摘する。これは非常に危険な状態であり、ウクライナでの軍事状況を激化させるだけでなく、潜在的には欧州へ戦争が拡大する可能性もはらむとしている。
そして、平和のために強力なドイツ、国際、そして超党派の和平運動を進める必要があると主張し、次のように締めくくっている。

「我々はついに戦争の狂気に終止符をうち、和平交渉によって紛争の拡大を防ぐ必要がある」

シュトラッヘ氏は2022年末にもウィーンで政治集会を開き、西側は対露制裁で自らを窮地に追い込んだと指摘し、2014年のウクライナ革命が米CIAの積極的な関与で起きた事実を明言していた
ドイツ政府は25日、14両の独製主力戦車「レオパルト2」をウクライナへ供与することを決定したと発表した。また、他国が「レオパルト2」をウクライナへ供与することも承認した。米国も同日、主力戦車「エイブラムス」31両のウクライナへの供与を決めている。
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