その理由としてビロル氏は、次の年の冬がかなり容易ではなくなる要因が数多くあることを指摘している。ビロル事務局長は、欧州にはロシア産ガスがないこと、ガス市場における欧州の主な競争相手の座に中国が復帰したこと、世界もガス市場の供給量が若干増加したことから、来年の冬までに各国間のエネルギー資源の獲得競争の激化は避けられないと見ている。ビロル氏はハンデルスブラット紙からの取材に、結果としてガス不足から価格は再び上昇すると強調した。
ビロル氏は、欧州は2022年、ロシアから600億立方メートルの天然ガスを輸入し、ガス貯蔵施設を満杯にしてしのいだものの、2023年はロシアからの供給不足を他からの輸入で補充せざるをえないと指摘した。ビロル氏は、世界最大のエネルギー輸入国、中国の石油・ガスの消費量は2022年は40年ぶりに減少したものの、現在、中国経済は迅速に回復していることから、2023年は中国が再びガスの主要輸入国になると見ている。
ビロル氏は、中国が世界の石油需要の増加の半分をも中国が占めていることを指摘した。中国経済が再び力を盛り返し、世界の他の地域が不況を回避すれば、世界の石油需要は記録的な水準に達しうる。その場合、原油価格は、OPECプラス、特にサウジアラビアとロシアのリアクションに左右されることになる。ビロル氏は、石油が増産されれば、欧州には大きな助けになると見ている。
ハンデルスブラット紙の報道によれば、ビロル事務局長は、これまでのエネルギー危機は比較的穏やかなために欧州各国政府に対して気を緩めてはならないと呼びかけ、ガスと石油の消費のさらなる削減を求めた。ただしジョーンズはガスと石油エネルギーは将来的には原子力や風力、太陽光発電に取って代わられるはずだと見ている。
欧州議会は先日、ロシア産ガスの供給契約を行わない戦略は不可能と認識し、交渉の再開を宣言した。
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