【視点】人気取りか、政治的ジェスチャーか 専門家がバイデン大統領のウクライナ訪問を分析

米国のジョー・バイデン大統領は18日、ウクライナを電撃訪問しウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。訪問の目的について米ホワイトハウスはウクライナとの連帯と支援継続を示すためとしているが、専門家からは「ただの象徴的な政治的ジェスチャー」「次期大統領選挙に向けた人気取り」などと様々な指摘があがっている。
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ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所のビクトリア・ジュラブレワ上級研究員は、今回の訪問には2024年の大統領選挙を見据えた支持集めの側面があるとして次のように述べている。

「もちろん、これは米国内で自身の人気を上げようとする試みだ。選挙戦に近づけば共和党はバイデン氏を批判することは明らかなため、バイデン大統領はウクライナを支援することで何か成果を見せようとしている。バイデン政権は、際限なくウクライナに渡った資金や武器が何らかの結果をもたらしたと証明できるお手頃な実績を欲しているのだ」

一方でジュラブレワ氏は、純粋な「PR活動」のためだけではないとも指摘。米国にとってウクライナとの関係は重要性が高まっており、外交的、実務的な必要性も伴って今回の訪問が実現したとみている。
西側諸国によるウクライナへの兵器供与
ジャベリン、ハイマース、戦車 バイデン大統領がウクライナ電撃訪問で約束した軍事支援
政治・戦略分析機関「StratPol」の創設者のクサビエ・モロ氏は、今回の訪問が紛争の拡大を懸念する米国や欧州の世論を落ち着かせるためのものだと指摘している。

「バイデン氏の訪問はウクライナ国民への『激励』となっただけでなく、紛争の拡大を懸念する米国人や欧州人のためでもあるのだ。バイデン氏はキエフを訪問し、武器ではなく美しい言葉を届けたのだ」

また、訪問は象徴的な政治的ジェスチャーで、実際に何かに影響を与えるものではないとみる専門家もいる。ロシア科学アカデミー・米国カナダ研究所米国軍事政策センターのウラジーミル・バチュク所長は次のように述べている。

「ウクライナを支持するというワシントンの公式見解は変わらない。(編注:新たに)戦車や戦闘機をプレゼントとして持ってくるといったこともないだろう。これは単に象徴的なジェスチャーだ」

また、バチュク所長は露米関係に与える影響については、「露米関係はもはやほぼ存在しないのだから、影響を与えようがない」と指摘した。
18日の会談でバイデン大統領は、約4億6000万ドル(616億円)規模の追加軍事支援を発表。そのなかにはこれまでも提供されてきた歩兵携行式多目的ミサイル「ジャベリン」や多連装ロケット砲「ハイマース」などが含まれるという。
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