会合のテーマは
2日の全体討議では食糧問題やエネルギー安全保障、持続可能な発展のための協力、テロとの戦い、人道問題、自然災害時の支援など多岐にわたるテーマが議題にあがる予定だ。ウクライナ情勢も主要な議題の一つになるとみられており、議長国のインドは各サイドの合意を取り付け、共同声明の発表に持ち込みたい考えだ。
西側諸国はこれまで通り、ウクライナ情勢をめぐり、血眼になってロシア批判やロシアの「孤立化」を目指すと想定される。だが議長国インドのビナイ・クワトラ第一外務次官は、開催にあたり次のように述べている。
「ロシアとウクライナの状況を鑑みれば、これが会合の重要なポイントになるのはもちろんだ。だが、より大事なのはこの紛争がどのように世界の他の国々に影響を及ぼしているかを議論することだ」
ロシア、「ノルドストリーム」追及の構え
今回の会合にはロシアからはセルゲイ・ラブロフ外相が出席する。1日にはすでに現地に到着し、インドやトルコの外相との二国間会合も行っている。
ロシア外務省によると、ラブロフ外相はG20会合で安全保障やエネルギー、食糧問題などについてのロシアの評価を表明する。また、ロシアとドイツをつなぐパイプライン「ノルドストリーム」の爆破テロについて、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)諸国の責任を追及する考えだ。
また、国際貿易や物流網の多様化も提言する。G20の「建設的な考えを持つ同僚」に自国通貨での支払いへの移行、決済メカニズムの整備、独立した保険スキームや輸送ルートの確保などを呼び掛けるとしている。こうした議論は、西側諸国による一方的な対露制裁や米ドルの影響力の低下などを背景にしているとみられる。
林外相は国会対応でG20欠席
一方、日本の林芳正外相は国会審議に出席するため、2日のG20全体討議を欠席し代理として外務副大臣を派遣する。日本は主要7カ国(G7)の議長国であるのにも関わらずだ。日経新聞などによると、林外相は1日の国会審議に7時間出席したが、林外相への質問は1問のみで答弁時間はわずか53秒だった。
林外相は3日に現地で行われる日米豪印4カ国枠組み「Quad(クアッド)」の外相会合には参加する見込みだが、日本各紙は「日本にとって痛手」「発信力の低下につながる」と伝えている。予算案が審議入りする際の基本的質疑は全閣僚が参加するという「慣例」に沿ったものだというが、外交の重要局面でトップを派遣しなかったことは国際的に見れば非常識ともとられかねない。
インド紙「ヒンドゥスタンタイムズ」も林外相の欠席を否定的に伝えている。同紙は「内政問題で外相を自国にとどめておくことは、G20のホストであるインドをいら立たせる可能性がある。これは日本が、地域での中国の行動や、ウクライナとロシアの紛争を背景にモディ政権と協力を強化しようとしているときに起こった」と指摘している。インド政府は表面上は理解を示しているものの、日印間にしこりが残らないか懸念される。
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