ボリボク氏によれば、人類は理論上は氷河の融解で未知の危険な感染症に直面しうる。「私たちが地球の歴史について確実に知っているのはせいぜい過去5000年、あるいは1万年だが、それ以前の歴史は分かっていない。例えば、氷河期以前になんらかの文明が存在していたと主張する人たちがいる。多くの文明があったが、滅亡の原因はわかっていないと。例えば、南ウラルにあるアルカイムという先史時代の都市。これも誰が建てたのか、なぜ人が消えたのかはわかっていない。ひょっとすると発掘調査の段階で都市の住民全員を殺した赤痢アメーバが発見される可能性だってある」ボリボク氏はこう語っている。
ボリボク氏は、古代のウイルスは、特に氷河の中に無期限に存在しており、数十万年後でも危険をもたらすことが分かってきたと語る。そうした古代の感染症にとっては今の人間は新種であるため、太古の感染症は我々には危険ではないととらえることもできる。だが、ウイルスは宿主なしには存在できない。古代の感染症は地球の最初の生命であったアメーバに寄生していた可能性が高い。しかし、アメーバは人体にも発生する可能性があるため、これが太古の感染症と人間の中間宿主になる可能性は十分にあるとボリボク氏は警告を発している。
それでもボリボク氏は、古代感染症の脅威は潜在的には存在するものの、人類の全滅に至るような先史時代のパンデミックは起きないとの考えを示している。どこかで散発的に発生する事態となっても、古代ウイルスは現代社会では十分な数の新しい宿主を獲得していない以上、それが世界中に拡散する可能性は無いに等しい。
スプートニクは氷河の融解で、氷に封じ込まれた太古のウイルスや細菌が拡散した場合、人間の居住域に入り込む危険性はどれほどあるのかについて報じている。
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