スプートニクの姉妹組織である経済専門通信「プライム」で論説委員を務めるナタリア・カルノワ氏は「伝説は崩壊し、彼らは沈んだ。約170年の歴史を持つクレディ・スイスはもはやない。全てが文字通り一瞬で起こった」と驚きを隠せない。そして、「クレディ・スイス」の没落が、スイスが伝統的な中立主義の否定に動いていることと関連していると指摘する。
「スイス銀行が預金の安全性をいかなる事態においても保証するという考えは、100年以上前から存在しており、第二次世界大戦時に堅固なものになった。当時、スイス銀行は彼らのもとに入ってきたどんな資金でさえ保管していた。それがなぜ変わったのか?スイスは伝統的な中立政策を拒否しており、対露制裁に参加している。その結果はすぐに表れた」
カルノワ氏は、多くの顧客がスイスの銀行によるロシアの口座凍結を受けて信用をなくし、資金を引き揚げ始めたと説明する。
「スイス銀行に資産を預けていた顧客は、ロシアの次は自分たちかもしれないと理解し、資金を引き揚げ始めた。真っ先に動いたのは中国だ。中国人はスイス銀行に大量に預金していたが、この資金が去り始めたことで銀行は『痩せ細り』、そのうえ債務は増える一方だった。資金調達をしようにも金利は上昇しており、流出した資金を埋め合わせる顧客も来ない。こうして損失が生まれる。クレディ・スイスもこの問題に直面し、耐えられなくなったのだ」
今月10日、SVBが経営破綻したことが判明。2008年の金融危機以降に米国で破綻した銀行としては最大規模となっている。その後、ニューヨークを拠点とするシグネチャー・バンクも、12日付で閉鎖。欧州では「クレディ・スイス」も信用不安から経営危機に陥り「UBS」に買収されるなど、世界的に影響が拡大しつつある。
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