FRBは声明で、米国の銀行システムは健全としたうえで、「最近の動きは家計や企業の信用状況を厳しくし、経済活動や雇用、インフレに影響を与えるだろう」と指摘している。
米国では3月8日以降、シリコンバレーバンク、シルバーゲートバンク、シグネチャーバンクの3行が相次いで破綻した。FRBの急速な利上げによって保有する債券の価格が下落し、財務の悪化につながったことが破綻の要因とみられている。ただし、FRBはこの事態について、銀行システム全体の脆弱さを示すものではなく、銀行側のリスク管理に問題があったと評価している。
こうした中、FRBは0.25%の利上げを発表し、金融システムの不安がくすぶるなかでインフレを抑えこむ決意を打ち出した。これによって政策金利は4.75%から5%の幅となる。声明によると、FRBのメンバーらはその大半が年内に政策金利を5%から5.25%まで引き上げることを支持しているという。会合後の記者会見で、FRBのパウエル議長は年内に金利引き下げは行わないと表明。さらに、記者から利上げの停止についてどの程度検討があったか問われたのに対し、会合までの数日間、利上げ停止を検討したことを明かした。ただし、利上げの決定について会合のメンバーから力強い同意があったことから、さらなる引き上げに踏み込んだという。
FRBはGDP成長率と失業率の予測をそれぞれ引き下げたほか、インフレ率の予測は引き上げた。FRBの予測によると、GDP成長率は0.5%から0.4%、失業率は4.6%から4.5%に低下する一方、インフレ率は3.1%から3.3%に上昇する。なお、2024年のGDP成長率の予測は1.6%から1.2%に引き下げられた。
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