ドーシ氏は「ブラジル、インド、中国または南アフリカなどの急速に発展している国々にとっては、国際金融機関における西側の覇権でおどす西洋化から自国を守るのと同様、ロシアのような有益なパートナーと生産的な関係を維持することも重要だ」と指摘した。
同氏はまた、新興国はロシア産の安価なエネルギー資源、食料、肥料へのアクセスに関心を持っているほか、米国のブリンケン国務長官がアフリカを訪問(2022年8月)した際に示されたような「どちら側につくか決めろという指示」は、主権国家にとっては侮辱的だとみなされるとしている。
またドーシ氏は、国際通貨基金(IMF)の経済顧問ギータ・ゴピナート氏の発言を引用している。ゴピナート氏は、対ロシア制裁はドル以外の通貨を使い始めるその他のより小規模な貿易ブロックの形成を推進させていると指摘している。ドーシ氏は、国際準備通貨としてのドルの役割について、近い将来に変わることはないが、分岐のプロセスはすでに始まったとの見方を示している。同氏によると、BRICSの「新開発銀行」や中国の「アジアインフラ投資銀行」などの新しい金融機関、また地域のエネルギー貿易で米ドル以外の通貨の利用が拡大していることは、貿易、投資、金融、原材料に基づく融資における新たな金融ブロックの出現を促進する一方となる。ドーシ氏は、並行してロシアと中国は西側の金融制裁に対抗するためにBRICSの通貨バスケットに基づく国際準備通貨と統合された銀行間決済システムの開発に取り組んでいると指摘している。
同氏は、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの新興国はエネルギー価格の高騰や経済成長の鈍化に直面することになるとの見方を示している。ドーシ氏は、このような状況の中で、これらの国は自国の利益を慎重に考慮し、主権国家として「エネルギーの選択」を行うことになるが、ここではロシアと中国との協力を目指すことが彼らにとっては有益だとの考えを示している。
これより先、ブルームバーグはロシア産石油について、制裁の影響を受ける恐れを払拭したアジアからの買い付けがますます増えていると報じた。
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