パリ五輪参加者は暑さと真っ向から対峙することに
同テレビが指摘するように、35度の気温で格闘技をし、マラソンを走り、自転車のペダルを漕ぐのは大変辛いことだ。しかしもっと悪いのは、2024年のパリに集結する世界最高峰の選手たちが宿泊部屋でも暑さから逃れられず、リカバリーを図れない可能性があることだ。これも組織委員会が世界で最も環境に優しい五輪大会を実施しようと決めたためで、具体的には五輪村の部屋も含め、全くエアコンを使用しないことになる。
この「超環境配慮型」五輪の発案者はアンヌ・イダルゴ市長だ。同市長はすでに何度となくパリ市民に自転車や電気自動車への移行を呼びかけてきた。ただし成功はしなかったが。イダルゴ市長はその代わりにスポーツ選手で挑むことにした。まず、CO2排出量削減のために競技会場には既存施設の95%を使用することが予定されている。新規に建設するのは水競技センターと五輪村のみ。しかしどこにもエアコンは見当たらない。空調冷却システムがなければ建物のCO2排出量は45%低減するからだと同テレビは伝えている。
選手はどう乗り切るか
過去4年、パリの夏の気温は40度に達したことがあった。しかしそれがパリ五輪2024の組織委員会を迷わせることはない。委員会は深い穴を掘り、室内の熱した空気を吸い取るヒートポンプを設置し、地下経由で熱気を逃すという冷却案を検討している。しかし専門家の話では、この方法で下げられる室温は6度が限度であり、つまり外気が40度の場合、室内は34度になる。これで選手が然るべく体力の回復を図れるかは疑問である、と同テレビはまとめた。
組織委員会は妥協するか
エアコン不使用にはフランスの選手たちも不満を表明している。五輪村の室内温度は26度以下でなければと考えているからだ。しかし最も楽観的な組織委員会の見積でも、外気が40度の場合はそのような穏やかな気温を実現するのは不可能だ。その結果、五輪村の村長は、大会主催者は選手の健康を損なわずに環境保護問題を解決することはできなかったと認めることとなった。そのため、特例として一部選手には自費で独自の「ウォーターミスト」を設置することを許可するという。イダルゴ市長は同時に「2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を諦めない」と宣言しており、五輪村の冷却ファン設置問題については「選手の健康に直接的な危険が及ぶ場合」のみに検討する用意があるとした。
スプートニク通信はこれより前、900万人のファン、2万5千人の報道陣、1万4千人の選手が集まるパリ五輪の主な問題は依然としてセキュリティであり、現時点で多くの問題を抱えていることを伝えた。
関連ニュース