本戦略は外交防衛のみならず、経済・技術等を含む多岐にわたる分野の安全保障上の問題に対し、総合的な国力を最大限活用して、日本の平和と安全を含む国益を確保するための安全保障に関する最上位の政策文書。
優先されるべきは積極的な外交の展開。外交を展開するためには、裏付けとなる防衛力が必要。戦略的なアプローチとして自由で開かれたインド太平洋のビジョンの下での外交、反撃能力の保有を含む防衛力の抜本的強化等の方針を(国家安全保障戦略で)示している。
3文書で示された方針は、憲法・国際法・国内法の範囲内で実施されるものであり、非核三原則や専守防衛の堅持、平和国家としての歩みをいささかも変えるものではない。3文書の下で、国民の生命や暮らしを守り抜くという日本政府の最も重大な責務を果たしていく。
日本としても国際社会の中で、安全保障環境の変化を踏まえた防衛力の強化を図る上で、防衛費をGDP比で見ることは、指標として一定の意味がある。その上で防衛力の抜本的強化に向け、海上保安能力、研究開発、公共インフラ整備など総合的な防衛体制を強化するための経費を積み上げた結果、そのための予算水準が現在のGDPの2%の水準になった。
反撃能力とは、1956年に日本政府見解として憲法上、法理的には自衛の範囲内に含まれ可能とした能力にあたる。この政府見解は2015年の平和安全法制に際して示された武力行使の3要件の下で行われる自衛の措置にもそのまま当てはまる。反撃能力はこの考え方の下で日本に対する武力攻撃が発生、または日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合など、武力行使の3要件を満たす場合に行使しうる。
存立危機事態は、日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したからといって無条件で認定されるものではない。これにより日本の存立が脅かされ、国民の生命・自由・幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に認定され、この危険を排除し、日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がなく、必要最小限度の実力行使に留まる場合において、自衛の措置として武力を行使することが許容されている。
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