【視点】「日本の南クリル諸島に対する立場はあいまいで、あまり明確ではない」  ロシアの専門家が「外交青書2023」についてコメント

日本の外務省は11日、2023年版の「外交青書」を公開した。同省はこの文書で2年連続、南クリル諸島(いわゆる「北方領土」)が「不法占拠」されているとの文言を盛り込んだ。また、この文書では平和条約交渉の停止を決定したロシアを改めて批判した。ロシア極東連邦大学のアンドレイ・グービン准教授(政治学)がラジオ・スプートニクで、日本の立場についてコメントした。
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「一方ではロシアが『北方領土を占領した』と言いながら、他方では我々は平和条約の締結を求めるという表現は、冗談になっていません。これはもっときつい何かだと言えるでしょう。(中略)これは傲慢に近いです。話をしたいのであれば、適切な交渉の場を作り、話し合うことができる空間を用意する必要があります」

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グービン氏によると、日本政府は平和条約の締結が現状では不可能であることを認識しながらも、交渉に関してロシアとは反対の立場をとっている。
「日本の現在の立場はどっちつかずで、あまり明確ではない」
ロシアは2022年3月、日本当局がウクライナをめぐる情勢を背景に対ロ制裁に踏み切ったのを受け、平和条約の締結に向けた交渉を拒否し、さらに日本国民による南クリル諸島へのビザなし渡航の停止を発表した。こうした中、日本政府は2003年以来初めて、南クリル諸島が現在「ロシアに不法占領されている」との文言を「外交青書」に戻した。一方、日本政府はロシアとの平和条約を締結するという方針を堅持すると繰り返し述べているが、ロシア政府は日本が非友好的な立場をとっていることから交渉は不可能だと主張している。
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