イタリアの新聞「イル・マティーノ」がこの論文を引用して伝えたところによれば、街を覆った火山灰の雲の温度は当初500〜600度であったが、海岸にまで達したときにも500度以上の高温を維持し、「それにより、街や海辺の建物の中に避難した多くの人々は一瞬にして犠牲となった」という。その後、高温の火山灰と海水が反応を起こし、冷たい灰となって死者を覆ったと見られる。そして高温の火山灰は、「遺体を灰にし、犠牲者の脳をガラス化するものだった」と記事には記されている。
こうした結論を導き出したのは、ローマ・トレ大学の地質学者グヴィド・ジョルダーノ氏とナポリ大学の人類学者ピエロ・パオロ・ペトローニ氏率いる研究者チーム。焦げた樹木と、3年前になされた発見から今回の研究を行った。2020年、ペトローニ氏率いる研究者らはヴェスヴィオ山の噴火による犠牲者の頭蓋骨からガラスのようなものを発見した。今回の研究で、研究者チームは、脳組織が火山灰に覆われた後、急激に冷却され、凝固したのだろうとの仮説を立てた。
古代ローマのヘルクラネウムは隣接するポンペイと共に、紀元79年に起こったヴェスヴィオ山の噴火により、溶岩と火山灰に埋もれた。現在、この遺跡はイタリアでもっとも訪問者の多い文化遺産となっている。
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