IMFの「ウクライナ特例」にグローバルサウスの不満高まる

国際通貨基金(IMF)と世界銀行の春季会合は、グローバルサウス(途上国、新興国などの総称)の不満の高まりを背景に行われている。戦後の国際金融の基礎となったこの枠組みへの不信感が渦巻く。同時に、西側諸国が進めるウクライナ支援は、状況を悪化させる一方だ。こうした考えを米メディア「ブルームバーグ」のコラムニストで経済学者のミヒル・シャルマ氏が示している。
この記事をSputnikで読む
シャルマ氏によると、新型コロナウイルスのパンデミックやインフレは、ウクライナ紛争の影響も相まって、これまでにグローバルサウス諸国を債務危機の崖っぷちまで追いやった。このため、IMFや世界銀行の最優先課題は、こうした国々を支えることであるはずだ。
世界銀行のデイビッド・マルパス総裁は「債務の再構築プロセスは大きく進展してはいない。債務の安定性を保証するために取れる措置についての議論は十分ではない」と発言している。だがシャルマ氏は、支援の速さだけでなく優先順位への不安も、グローバルサウス諸国から上がっていると指摘する。
ウクライナ危機の長期化で更に重大な問題が野放しに=IMFトップ
シャルマ氏はIMFがウクライナ特例のために、自ら定めたルールを変更したことに言及した。IMFは3月、「極めて高い不安定性の状況」に置かれた国々への緊急融資の規定を改めた。これまでは国際紛争に参加している国への融資を認めていなかったのにも関わらず、ウクライナには融資ができることとなった。この一方で、2年前に内戦が起きたエチオピアでは、それまでにIMFから約束された融資が届かなかったという。
シャルマ氏はウクライナが資金を必要としているのは確かだとしたうえで、これはウクライナを支援できる余裕のある「西側のお友達」がすべきだと指摘。国際機関を巻き込んだり、ただでさえ大きなウクライナの債務を増やしたりするのは得策でないと述べている。
IMFとウクライナは3月、156億ドルの融資プログラムで大筋合意している。
関連ニュース
世界の分断と貧困 IMF 米中対立がもたらす影響を警告
ウクライナ支援関連法が成立 最大6850億円を拠出
コメント