宇宙のどこにいても、喉の渇きから逃れることはできない。そのため、宇宙での有人ミッションでは、宇宙空間に飲料水を持ち込む必要があった。しかし、水は重いため軌道に投入して運ぶには大量の燃料が必要だ。月や火星に恒久的な基地を建設するとなると、地球から水を供給するのはコストがかかりすぎるため、長期的に見ると現実的な方法ではない。
しかし、宇宙空間では水はそれほど珍しい物質ではない。一見水のないように見える月にも、そう多くない数の入植者の生命を維持するのに十分な量の水が存在している。研究者らによると、月のレゴリスから水を得るのは、電子レンジで肉を加熱するのと同じぐらい難しいことではないという。
電子レンジで食品を温めると、皿全体に細かい水滴が付くことがある。研究者らはこの現象に着目し、レゴリスをマイクロ波で加熱すれば水が抽出できるかどうかを調べてみることにした。
研究者らが特殊な電子レンジとセラミック製のるつぼ、月の土壌を使って実験してみたところ、実験開始から25分後に土壌中に含まれる水の55〜67%を水蒸気に変えることに成功した。しかし、この方法が有効なのは水の含有量が少ない場合。水の含有量が10%を超えると、通常の加熱方法の方が有効だという。
研究者らによると、ソーラーパネルからの電力で作動する低電力の電子レンジがあれば、将来の月入植者は、足元の地面から水を取り出すことができる便利な方法を利用できるという。
これよりも前、米航空宇宙局「NASA」は、宇宙飛行士の月への着陸を目指す「アルテミス計画」の一環として、今後数年のうちに月に最初の入植者を送り込むと明らかにした。
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