「制裁が発動されて以降、石油やガスの輸出に関係する多くの企業が新たな状況に適応しています。『価格の上限』を守らず、ロシア産の石油を輸送する安定したタンカーが現れています。EUの第11弾制裁パッケージでは、船はヨーロッパの港に入港することが禁じられていますが、この禁止はこれらの船にはあまり意味のないものです。というのも、これらの船はもともとヨーロッパの港には寄港していないからです。もしどこかの船がこのビジネスから撤退したとしても、そこにはまた別の船がやってきます。海上運賃は2〜3倍高くなる可能性があり、これはかなりの収入になります」
「これは米国とカナダが支持している方式です。米国やカナダはロシアとの貿易高はそれほど高くないからです。しかし、イタリア、ドイツ、フランスにとって、これは深刻な脅威であり、そのような決定を下す用意ができていないことは明らかです。大きなファクターとなる可能性があるのは、ロシアがその対抗策として、ウランや核燃料の輸送を禁止する可能性があるということです。これはG7の一連の加盟国にとってはきわめて重大な脅威です。
日本はおそらく、G7の全体の決定に賛同するでしょう。かつて日本は、360万ルーブル以上の自動車をロシアに輸出するのを禁止しましたが、新たな制裁の枠内では、中古自動車の販売を禁止する可能性があります。しかし、これが、ロシア経済にとってそれほど深刻なことでないのはお分かりになるでしょう」
「多くの部門で、すでに新たな条件、新体制への適応が起こっています。複数の国にかなりの利益をもたらすような並行輸入が機能しています。もちろん、いくつかの製品群には、ロシアが輸入を完全に停止することができないニッチな部分がありますが、そうした部分というのは欧州諸国、またその他の国々にもあり、そうした国々には、一連のロシア製品を輸入しないわけにはいかない事情があるのです。
ですから、制裁によってロシア経済への損害はあったとしても、ロシア経済が崩壊するとは思いません。ですが、制裁による逆効果というものは、けして無視してはならないのです」