ロシア国立研究大学高等経済学院、東洋学スクールのアンドレイ・フェシュン助教授は、大方の日本国民とウクライナ側との連帯を積極的にアピールしている日本政府の関係を次のように描写している。
「日本のマスコミはウクライナ支援の話題では常に関心を『煽ろう』と必死ですが、ウクライナに対する日本の関心はそれほど高くはありません。加えて、日本の支援は実際には小規模で、数十台たらずのトラックでしかありません。そのトラックとは、おそらくアフガニスタンで「シャイタン・モービル」(編集:「シャイタン」は悪事を働くジンの名前)と呼ばれた、機関銃が載った車両のことでしょう。それと30万食分のドライフーズです。
しかし、大規模ではないにせよ、G7広島サミットの期間の間に行われた抗議行動も見逃すことはできません。いわゆる『キッチン・プロテスト』と呼ばれる小規模の抵抗です。これは税金がどこにいくのか、それが合理に使われているのかということに疑問を持つ人たちの集まりです。
全体として、日本社会はウクライナ情勢に無関心か、あるいは否定的です。ところが大きな抗議行動は起きておらず、また、近い将来にもそういった行動がとられることも期待できそうもありません。つまり、下からのつきあげが少ないので、今のところ、ウクライナのことでは日本政府には危険はないのです」
フェシュン氏は、広島サミット開催の前に日本のマスコミはすでに秋の議会選挙の話を取りあげていたが、今はこの話題には触れていないと指摘している。
「日本政府のこうした揺るぎのなさは経済の成長によるものではなく、政権を危険にさらすような強い野党が不在だからなのです。日本の政治は質的に大きく低下しましたが、それは今や、米国に完全に依存いるからです。G7サミット以降、岸田首相の支持率は上がりましたが、これはこのような国際的なイベントの後では予想の範疇です。ですが日本経済は、まぁ、そこまでひどく落ち込んではいないものの、何十年も停滞状態にあります。それと同時に、人口動態は年々悪化していており、高齢化と出生率の低下は、日本社会にとって依然として大問題であることにはかわりません」
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