「汚い爆弾」は、核兵器と同じく放射性物資を利用しているため、放射能兵器の一種とされる。学者らは、「汚い爆弾」が爆発すると放射性物質が広範囲に飛散するが、その中で最も危険なのがアルファ線だと指摘している。アルファ線は皮膚を通して体内に取り込まれることはほとんどないが、呼吸や飲食によって体の軟部組織に沈着または吸収される可能性がある。アルファ線はそこでDNAを傷つけ、細胞内で起こる生化学的プロセスに損傷を与えるという。
SRIインターナショナルの研究チームは、HOPO 14-1と呼ばれる薬剤を開発した。HOPO 14-1は体内に入ると、そこに沈着した放射性物質を直接吸収する。薬剤分子が放射性物質に付着して生細胞から引き剥がし、より深く浸透するのを防ぐ。HOPO 14-1は錠剤の形態をしている点で、注射または吸入によって体内に入れる必要がある承認済みのDTPA(ジエチレントリアミン五酢酸) よりも優れている。また研究チームによると、放射性物質が「付着」した HOPO 14-1の分子は体外に容易に自然排泄されるという。現在、HOPO 14-1の臨床試験が始まっており、その後、この薬剤が市場に登場する可能性がある。
スプートニク通信は先に、「汚い爆弾」よりも放射能は弱いが、高い毒性と発がん性を有している劣化ウラン弾について報じた。
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