今回焦点となっているのは、155ミリ口径砲弾。北大西洋条約(NATO)加盟諸国のほか、日本の自衛隊もこのサイズの砲弾を採用している。WSJは情報筋の話として、次のように報じている。
「日本は2016年の米国との協定をもとに、155ミリ砲弾を米国に供与する可能性を検討している。協定では両国がお互いに砲弾を融通し合うことが定められている。米国はウクライナの軍事行動を支援しているため、日本によって供与される砲弾は米国の備蓄を満たす助けになる」
一方、砲弾の供与数については言及されていない。
日本は武器輸出三原則によって、紛争地域への軍事支援を制限しており、ウクライナへの殺傷能力のある武器支援もこれまで行ってこなかった。砲弾の供与が実現すれば、例え米国を介した形でも大きな方針転換となるほか、ただでさえ冷え込んだ露日関係はさらに悪化するとみられる。
これまでに韓国も同様に、米国へ155ミリ砲弾50万発を「貸与」する形で、ウクライナへの軍事支援に加担している。
米国はこれまでに、ウクライナ向け155ミリ砲弾の原料となるトリニトロトルエン(TNT)を、日本の輸出規制を回避する形で買い占める方法を見つけたと報じられた。日本政府はすでに米国に対し、爆薬は純粋な軍事目的の製品ではないことを理由にして、産業用TNTの販売を許可する意向を伝えているという。
また、自民・公明の両党はウクライナへの支援を行うために殺傷能力のある装備品の輸出にかかる制限を部分的に解除するための議論を続けている。新たな国家防衛戦略の中には、殺傷能力のある装備品をウクライナのみならず、海外の他の潜在的なパートナーらに対して供給する目的で輸出制限の見直しを図ることが明記されている。
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