26歳だったテレシコワは、2日と22時間51分の間、未知の宇宙と1対1で対面した。それ以降も現在に至るまで、女性が単独宇宙飛行をした例はない。他の女性の宇宙飛行士は、複数の乗組員の1人として宇宙に飛び立っている。
テレシコワの飛行より前、地球の軌道上に行ったのは男性だけだった。そのため、ロシアの「カモメ」の宇宙飛行は、「女性と宇宙」の問題が存在しないことの証明となった。テレシコワの宇宙飛行の2日前、別の宇宙飛行士、ワレリー・ブイコフスキーが乗った「ボストーク5号」も打ち上げられていた。2人は地上と交え互いに無線交信し、自身の活動を調整したり、観測結果を比較したりした。また、無重力空間が人体に与える影響には、男性と女性で大差がないことも分かった。
テレシコワを乗せた宇宙船は地球の周りを48周した。「ボストーク6号」の帰還船は、無事にアルタイ地方(ロシア)の湖に着水した。
宇宙飛行から40年以上経ってから、テレシコワはロシア初の女性空軍少将となっている。彼女は地球に戻れない可能性もあったと当時を振り返っている。大気圏再突入は手動操作で行うはずだったが、船に「降下」のコマンドを出しても、反対に上昇を続け地球からどんどん離れていった。テレシコワは手動操作に不具合が起こったことを即座に理解し、地球と交信して自動での着陸を要請した。弱冠26歳のテレシコワの勇敢さ、決定力、そして専門性の高い知識が彼女の命を救い、宇宙の征服者の輝かしい歴史の1ページに載ることになったのだ。
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