15日、別のイスラエルメディア「Yedioth Ahronoth」はイスラエル国防省高官の話として、1990年代に製造されすでに退役した「メルカバ」のMk2型、Mk3型あわせて200両を、「欧州の2カ国」に販売する交渉が行われていると伝えていた。同省国防装備輸出部門トップのヤイル・クラス准将はこのことを認め、交渉相手のうち1つは「欧州大陸部にある国」だと明かしていた。
「Walla」はイスラエルが米国からの圧力に屈し、ウクライナやポーランドに旧式戦車を販売することを決めたと指摘している。また、情報筋の話として、「メルカバ」がポーランドの軍事企業によって、イスラエルで改良される可能性もあるという。
一方、米メディア「Axios」は17日、情報筋の話として、イスラエルは人道物資や殺傷能力のない軍事装備のみに限って支援を続けていると伝えている。このことは、先日ベルギーで行われた北大西洋条約機構(NATO)の国防相会合の場で、イスラエルのガラント国防相から米国のオースティン国防長官に伝えられたとみられている。
ウクライナにとっての戦車「メルカバ」
ヘブライ語で「騎馬戦車」を意味するイスラエルの主力戦車「メルカバ」は1979年から製造されている。現在の主力は第4世代の戦車となっており、最新の第5世代型も試験用としてすでに軍に引き渡されている。
露軍事情報ポータル「祖国の武器庫」で論説委員を務めるドミトリー・ドロズデンコ編集長は、出演したスプートニクラジオの番組のなかで、「メルカバ」の使用に関わる問題は、その局地性にあると指摘する。
「戦車『メルカバ』は現存する世界で最も重い戦車の1つだ。固く乾いた土でできた荒野での使用を前提としている。これは中東での軍事行動を念頭にしたイスラエルの発明で、防御も堅い。だが、ウクライナでの使用の観点では、チェルノーゼム(黒土地帯)では乾燥した日でも荒野より土壌が柔らかいことに加え、戦車の重量を考慮すると、移動での困難がつきまとうだろう」
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