【視点】日本はロシアとの関係を築く自国の努力を消し去った=専門家

日本で通常国会が閉会した21日、岸田文雄首相は会見を開いた。会見では露日関係についても言及し、「漁業といった経済活動など、日露が隣国であるがため対応する必要があるものもあり、何が国益に資するかを考える必要がある」と述べた。また、「領土問題を解決して平和条約を結ぶ」とする従来の日本政府の立場を堅持するとも表明した。
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国益にかなわない岸田政権の対露政策

ロシアの政治学者アレクサンドル・コニコフ氏は、スプートニクのラジオに出演したなかで、岸田首相は「国益を考える」と発言しているのにも関わらず、ロシアとの関係で国益にかなわない行動を続けていると指摘する。
コニコフ氏は、この1年半にわたり展開されている地政学的勝負のなかで、日本の立ち位置は著しく不条理だとしたうえで、次のように述べている。

「日本以外の西側諸国(日本が西側に含まれるかは諸説あるが)、米国や一部の欧州諸国であればロシアを抑圧することなどが国益となるのは分かる。だが、日本の場合はあてはまらない。なぜなら、日本は過去数十年にわたるロシアとの関係を築こうとしてきた自らの努力を、あからさまに消し去ったからである」

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また、コニコフ氏は、日本の条件で平和条約締結を目指す岸田首相の姿勢についても注目した。
「ロシアと日本の間には平和条約がない。日本は領土を条件にしているが、ロシアとしては実質的にこの問題はとうの昔に閉ざされた。ロシアは第二次世界大戦の結果を誰にも何も渡す必要はないとみなしている。ここには日本が利害関係を持つ外交上の『引っかかり』がある。だが、日本外交が長年にわたり育て上げたその細い糸さえも、岸田政権によって断たれたのだ」

経済的利益にしがみつきたい日本

元駐日ロシア大使で現在はモスクワ国際関係大学外交学部の教授を務めるアレクサンドル・パノフ氏は、以前スプートニクに対し、日本は対中国を念頭に自分たちが欧米にとっての「アジアの支柱」であることを証明するために、ロシアとの関係を犠牲にしたと語っている。
岸田政権は欧米や世界政治全般において、自国の役割を高めるチャンスを逃すまいと、非常に「あくせく動き回って」いる。日本がいかに「重要なプレーヤー」であるかを国際社会に示すためのウクライナ支援であり、対露制裁なのだ。
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だがこれは日本の経済的利益が、この政策の「儀式上の犠牲者」になるリスクをはらむ。もちろん、日本政府はこれを認識しており、「つかまって」まだ留まれる場所に居続けようとしている。
岸田首相が会見で例示した漁業だけではない。今月初旬に経済産業省が公表した「エネルギー白書」では、ロシア極東の石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン1」および「サハリン2」は、日本のエネルギー安全保障にとって重要な位置を占めていると指摘されている。
今回の岸田首相の発言には、長年進展のなかった平和条約締結交渉は犠牲にしつつも、せめて取り返しのつかない経済的損害は回避したいとする思惑が見え隠れする。
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