米議員 ウクライナへの核使用、NATO攻撃とみなせと提案

米議会のリンゼー・グラム議員(共和党)とリチャード・ブルメンタール議員(民主党)は、ロシアやベラルーシがウクライナに戦術核を使用した場合、北大西洋条約機構(NATO)への攻撃とみなすよう求める決議案を上院に提出した。グラム議員が記者会見で明かした。会見の様子は米放送局「G-SPAN」が中継した。
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決議案のなかでは、ロシアやベラルーシによる「人々の生活に深刻な被害をもたらす核・原子力施設の破壊やNATO圏への放射能汚染の拡散」も即時報復の要件になるとしている。
また、グラム議員によると、決議は核兵器の使用が「NATOとの戦争」を招くというロシアへのシグナルになるという。一方、決議が採択されたとしても法的拘束力はなく、勧告にとどまる。
ウクライナでの露特別軍事作戦
ロシア人の死に関するグラハム米上院議員の発言は、ウクライナ大統領府が編集したもの=メディア

ばかげた憶測

アナトリー・アントノフ駐米ロシア大使はこのイニシアチブを受け、「ロシアは今も昔も責任のある核保有国であり、こうした挑発的発言は緊張をエスカレートさせるだけだ」と批判した。
また、アントノフ大使は、ロシアが核兵器を使うという「ばかげた憶測」の背景には、「汚い爆弾」を使用してロシアに責任をなすりつけるという、ザポロジエ原発での挑発を行うために世界を欺く意図があると主張した。
さらに、アントノフ氏はロシアの核使用要件に関する文書には一切変更がないことも指摘した。
プーチン大統領は昨年秋、ロシア国民にむけて演説を行ったなかで、西側諸国は反ロシア政策のあらゆる限界を超え、ロシアに対して常時脅威を与えていると指摘し、「ロシアの領土一体性と国民を守るために持っているすべての手段を使う」と強調した。
これを受け、西側諸国の政治家やメディアは、ロシアが核兵器を使用すると早合点していたが、その要件については大統領令で明確に定められている。
ロシアまたは同盟国を攻撃する弾道ミサイルが発射された場合
同様に核兵器または別の大量破壊兵器が使用された場合
それなしでは核による反撃能力が失われるような重要性が極めて高い国家、軍事施設への敵の攻撃があった場合
国家の存立が脅かされるような通常兵器による攻撃
ロシアの核戦力は世界のパワーバランスを保つ=プーチン大統領

脅威の破滅的な過小評価

スプートニクが所属する露メディアグループ「ロシア・セヴォードニャ」で論説委員を務めるウラジーミル・コルニロフ氏は、スプートニクラジオの番組に出演したなかで、グラム議員のような米国の「冒険家」が世界を核惨事に追い立てていると警鐘を鳴らしている。彼らはこうしたレトリックの危険性を理解していないと指摘し、次のように述べている。

「現在存在するこうしたリスクや脅威の過小評価は、特に米国など西側社会の深刻な問題だ。彼らは自分は『海外』にいると確信し、核の大惨事は遠い欧州やアジアの話で、自分たちには関係ないと思っている。それは全く違う」

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