経済産業省の発表によると、対露制裁の一環として9月30日から実施する「建築及びエンジニアリング分野のサービス提供禁止措置」について、「サハリン1」、「サハリン2」、「アークティックLNG2」については対象から除外する。同省は理由について、「エネルギー安全保障の観点から重要なプロジェクト」であることをあげている。
モスクワのシンクタンク「ロシア国際問題評議会」の事務局長でモスクワ国際関係大学のイワン・ティモフェエフ准教授は、以前のスプートニクのインタビューに対し、日本政府の対露制裁は米国のそれに沿ったものでありながら、必要に応じて自国の利益を守ったものになっていると指摘している。
「G7各国は、政策の一環として、互いに規制を調整している。しかし微妙な差異もある。例えば、ロシアの魚介類の輸入問題では、日本はこの分野で利益を得ているため、日本政府は米政権をやみくもに真似るわけではない。ロシア産石油やエネルギー輸入についても同様で、日本政府には日本のエネルギー安全保障に関連する多くの例外がある」
確かに、日本政府は前例のない対露制裁キャンペーンを進める一方、それによる取り返しのつかない経済的損害は回避する方針を貫いている。
6月に経済産業省が発表した「エネルギー白書」では、「日本のエネルギー安全保障にとってサハリン1およびサハリン2は重要な位置を占めている」と指摘されている。ロシアは日本の液化天然ガス(LNG)輸入量のうち9.5%、石油では1.5%を占めているからだ。
これまでにG7(主要7カ国)は露産石油の上限価格を導入しているが、日本は「サハリン2」で生産された石油については、エネルギー安全保障の観点から規制の対象外としている。
ロシア極東の天然ガス開発プロジェクト・サハリン1には伊藤忠商事や丸紅、石油資源開発(JAPEX)が、サハリン2には三井物産と三菱商事が、それぞれ出資している。また、北極圏で進むアークティックLNG2には三井物産とエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が参入している。
関連ニュース