欧州の兵力拡大
ホワイトハウスは13日、ジョー・バイデン大統領が最大3000人の予備役招集を許可する大統領令に署名したと発表した。招集兵は米国を中心にNATOが行っているウクライナ支援作戦「Atlantic Resolve」の増援のため、欧州へ派遣される可能性がある。
米政治専門紙「ポリティコ」によると、ロイド・オースティン国防長官が実際に招集兵の派遣を計画しているかは不明。だが、ロシアの特殊軍事作戦開始以降、欧州におけるNATO軍の兵力は急速に拡大している。
昨年、米国は2万人を増派し、欧州における兵力は計10万人を超えた。また、これまでにNATOは欧州での即応兵力を30万人に拡大するとも宣言している。
また、NATOは13日、ウクライナの隣国モルドバに「政治顧問グループ」を派遣したと発表。国家の安定のために政権に対し「助言」するという。モルドバは加盟国ではないが、NATOと「個別パートナーシップ行動計画」という協力体制を築いている。
アジア太平洋でもプレゼンス高める
一方、今月11~12日にリトアニアで開かれたNATO首脳会談で採択された宣言では、「中国とロシアのパートナーシップの強化は、NATOの価値観と利益にかなわない」と言及された。これに対し、中国は反発を強めている。
中国の張軍・国連大使は次のように述べている。
「冷戦の産物であるNATOは、冷戦の亡霊を支持している。ビリニュスで開かれたNATOサミットでは、冷戦時代に聞き慣れたイデオロギー対立の発言がみられた。宣言では根拠のない中国への非難もあった。中国は断固としてこれを拒否する」
今回のNATOサミットには、いわゆる西側に属する日本や韓国、オーストラリア、ニュージーランドといったアジア太平洋地域諸国も招待された。日本の岸田文雄首相とNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長も会談し、日・NATO間の16分野での協力を定めた新たな文書がまとめられた。
NATOの東京事務所の開設はフランスが待ったをかけているものの、NATOは「東」でのプレゼンスを着実に高めている。同時に「西」での兵力増員も進めており、露中をあからさまに敵視する冒険的政策を進めている。
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