英国防省は報告書で、現在英国は2世代に1度の核戦力近代化の時期を迎えていると指摘。核ミサイルを搭載できる旧式のヴァンガード級潜水艦を、新しいドレッドノート級に置き換えるプロジェクトが進んでいるとしている。
「2030年代初頭に、ドレッドノート級の1番艦就航を見据えプロジェクトは進んでいる。また、効果的で確実な抑止力を維持するため核弾頭も刷新する」
こうした核戦力の更新のため、英国政府は今後2年間で30億ポンド(約5400億円)、その後3年間で追加で60億ポンド(約1兆800億円)の予算を割り当てる。対象には関連インフラの建設、潜水艦保守能力の近代化、研究機関の原子力技術プログラムの促進、就役中の潜水艦の維持なども含まれている。
現在英国は約260発の核弾頭を保有しているとされる。運搬手段として採用されているのは潜水艦発射型弾道ミサイル「トライデント」で、4隻のヴァンガード級潜水艦が交代で常時配置についている。
米国でも進む核の近代化
核戦力の刷新をめぐっては、米国も今、核の三本柱(戦略爆撃機、弾道ミサイル搭載原子力潜水艦、地上発射型大陸間弾道ミサイル)の近代化を進めている。旧型の弾道ミサイル「ミニットマン3」を2030年夏までに開発中の「センチネル」に置き換えるほか、新型の戦略爆撃機「B21(レイダー)」の導入も急ぐ。
米メディアはこれまでに、ロシアが開発した最大射程1万1000キロの大陸間弾道ミサイル「RS28(サルマト)」の実験成功を受け、米核戦力の刷新の重要性を突き付けられたと報じていた。
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