ジーグラー氏は、ブリスマ社からの賄賂受け取りにバイデン大統領とその息子が関与した疑惑を調査している米下院監視委員会の公聴会に初めて出席するまで、匿名で内部告発を行っていた。
ジーグラー氏によると、ブリスマ社は贈収賄スキームの参加者全員に650万ドル(9億0900万円)を支払い、さらに数十万ドルがブリスマ社と取引関係にあったコンサルタント会社ブルー・スター・ストラテジーズ(Blue Star Strategies)に払い込まれた。
残りの資金は、ルーマニアの企業(約310万ドル)と中国のCEFC社(約690万ドル)からバイデン一家に支払われたという。
これより先、米下院監視・説明責任委員会のジェームズ・コマー委員長はバイデン家の疑惑を取り上げた公聴会で、所謂「影響力の取引」の一環として外国企業からまずバイデン家の「パートナー企業」に資金が入り、その後にバイデン家の「さまざまな銀行口座」に資金が振り込まれたと述べた。また同氏は、2020年6月に内部告発者が米連邦捜査局(FBI)に提供した文書を議会に提供するようFBIに要請したことを明らかにした。この文書にはバイデン氏が贈収賄スキームに関与したことを示す直接証拠が含まれている可能性があるという。一方、FBIはこの要請に応じなかった。
ウクライナのブリスマ社をめぐるスキャンダル
ハンター・バイデン氏はジョー・バイデン大統領の次男で、2014年にウクライナ民間ガス採掘ホールディング「ブリスマ」の役員に就任。取締役会にはジョン・ケリー元国務長官の義理の息子の友人であるデヴォン・アーチャー氏も加わった。ハンター氏が役員になって間もなく、同社をめぐる汚職疑惑が勃発。バイデン親子のウクライナでの活動の詳細の多くがハンター氏のノートPCから見つかった。それら情報は2020年に公開されている。
贈収賄スキーム以外にも、バイデン家の「ウクライナとのつながり」の別の一面が浮かび上がっている。例えば、ニューヨーク・ポスト紙は今年の初め、ハンター・バイデン氏のノートパソコンにあった資料を調査し、その過程でウクライナのビジネスパートナーであるデヴォン・アーチャー氏に宛てたメールが見つかった。そのメールには、当時拡大し始めていたウクライナ危機に関する国務省のものとみられる機密情報が含まれていた。
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