【まとめ】日本政府、最新版の防衛白書を公表 昨年からの変更点は?

日本の防衛省は28日、日本を取り巻く安全保障環境や国の防衛政策をまとめた「防衛白書」の2023年度版を公表した。概況では「国際社会は戦後最大の試練の時を迎え、新たな危機の時代に突入した」と明記。昨年末に新たに定められた「国家安全保障戦略」などの安全保障関連3文書を踏まえ、ロシアや中国に対する表現を厳しいものに改めた。
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今回の防衛白書では、岸田政権が進める防衛力の抜本的強化を速やかに実現すると目標が示されている。防衛費は向こう5年間で43兆円に達する見込みで、ミサイルなど反撃能力の保有を進める。また、常設の統合司令部の創設も決定したと言及されている。
そのほか、各国との関係や位置づけは次のようになっている。

ロシア

ウクライナ情勢を背景にロシアを「欧州方面における防衛上の最も重大かつ直接の脅威」と位置付けた。また、露中が日本周辺で共同演習を活発化させていることを受け、日本にとってロシアは「中国との戦略的な連携と相まって安全保障上の強い懸念」であると指摘。昨年版にあった「動向を懸念を持って注視する必要がある」との表現より一歩踏み込んだ形となった。
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中国

中国については、日本と国際社会の「深刻な懸念事項で あるとともに、これまでにない最大の戦略的挑戦」と評価した。台湾問題については「米国や同志国などと連携しつつ、動向を一層の緊張感を持って注視する」と記した。

北朝鮮

2022年に頻発した弾道ミサイルなどの発射実験を踏まえ、「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威」と位置付けた。また、ミサイル防衛網を突破する能力を向上させているほか、鉄道発射型、潜水艦発射型など運搬手段の多様化も進んでいると指摘した。
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米国

日本の反撃能力の効果的な運用に向けて、日米間での協力を深化させることを決定したと言及。また、2013年からの10年間で、日米間の軍事演習回数は4倍に、他国との演習も約2倍に増えたと指摘されている。

NATO

北大西洋条約機構(NATO)は「基本的価値とグローバルな安全保障上の課題に対する責任を共有するパートナー」とした。一方、NATOの東京事務所開設については防衛白書には言及されていない。防衛省は「議論の段階でまだ決定したことはないため」と説明している。
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