https://sputniknews.jp/20230718/16563326.html
【視点】台湾有事に際し、日本は参戦不可避か
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米国は中国が台湾侵攻を行った場合のいくつかのシナリオを検討している。ここで、米国が中国にうまく対処するためには豪州と日本という同盟国の支援が必要不可欠である。日本政府は米国が必要とする支援を行う用意はあるものの、紛争への直接的な参加についての議論は避けている。 2023年7月18日, Sputnik 日本
2023-07-18T15:53+0900
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米国の戦略国際問題研究所(CSIS)の報告書には、日本が参戦した場合の19のシナリオが明記されている。台湾有事に際し、米国は間違いなく在日米軍基地を使用することとなるが、これは日本全体の安全に脅威を及ぼすこととなる。そこで、シミュレーションのほとんどでは、もし中国が日本国内にある米軍基地を攻撃した場合には、日本が軍事行動に参加することが想定されている。米政府は「一つの中国」の原則を支持しているが、これまでにバイデン大統領は、もし中国が台湾を攻撃を行った場合、米国はこれに介入すると繰り返し警告してきた。日本が台湾を守ろうとすることは当然のことであるが、昨年、岸田首相は防衛のみを行うとする日本の戦略を今後変更していくとし、年間防衛費の増額についても明らかにした。ウォール・ストリート・ジャーナルのデータによれば、米国と日本の間では、台湾有事における米軍に対する日本の支援に関する協議が続いているという。ただし、今の時点では、補給ルートやミサイルの設置場所、難民の避難が議題となっているようではある。一方、米国はこの問題について、日本から「明確な答え」を求めている。軍事アナリストのヴィクトル・リトフキン氏は、挑発行為がなければ、中国の台湾侵攻の可能性は低いと見ており、それにはいくつもの理由があると指摘する。一方、これについて、露高等経済学院・東洋学スクールのアンドレイ・フェシュン准教授は、台湾有事が起こる可能性はそこまで大きくはないが、完全に否定できるものではないと述べている。関連記事
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【視点】台湾有事に際し、日本は参戦不可避か
米国は中国が台湾侵攻を行った場合のいくつかのシナリオを検討している。ここで、米国が中国にうまく対処するためには豪州と日本という同盟国の支援が必要不可欠である。日本政府は米国が必要とする支援を行う用意はあるものの、紛争への直接的な参加についての議論は避けている。
米国の戦略国際問題研究所(CSIS)の
報告書には、日本が参戦した場合の19のシナリオが明記されている。台湾有事に際し、米国は間違いなく在日米軍基地を使用することとなるが、これは日本全体の安全に脅威を及ぼすこととなる。そこで、シミュレーションのほとんどでは、もし中国が日本国内にある米軍基地を攻撃した場合には、日本が軍事行動に参加することが想定されている。
米政府は「一つの中国」の原則を支持しているが、これまでにバイデン大統領は、もし中国が台湾を攻撃を行った場合、米国はこれに介入すると繰り返し警告してきた。日本が台湾を守ろうとすることは当然のことであるが、昨年、岸田首相は防衛のみを行うとする日本の戦略を今後変更していくとし、年間防衛費の増額についても明らかにした。
ウォール・ストリート・ジャーナルのデータによれば、米国と日本の間では、
台湾有事における米軍に対する
日本の支援に関する協議が続いているという。ただし、今の時点では、補給ルートやミサイルの設置場所、難民の避難が議題となっているようではある。一方、米国はこの問題について、日本から「明確な答え」を求めている。
軍事アナリストのヴィクトル・リトフキン氏は、挑発行為がなければ、中国の台湾侵攻の可能性は低いと見ており、それにはいくつもの理由があると指摘する。
「中国には台湾を侵攻する必要がないのです。中国は血を流すことなく、香港とマカオを取り戻しました。台湾についても同じ手法を望んでいます。しかも台湾は、中国本土にとって、黄金の卵をもたらす鶏です。台湾には数えきれないほどのビジネスプロジェクトがあり、貿易関係があり、高品質の半導体の製造が行われています。中国がそのようなインフラを破壊する意味がどこにあるのでしょうか。
主に台湾有事に対する挑発を行っているのは、中国との競争を喉に刺さった骨のように感じている米国です。そして米国はそこに豪州、韓国、日本、さらにはインドを引き込んでいます。しかも、日本は米国に大きく依存しています。というのも、国内に米国の軍事基地があり、紛争が起これば、間違いなく、それが使用されるからです。しかし日本は中国の核兵器に脅威を感じており、言葉では米国を支持しつつ、中国との対立を避けようとしています。日本が紛争に巻き込まれるリスクはありますが、軍事紛争に参加するすべての国にとって、その犠牲は計り知れないほど大きいものです」
一方、これについて、露高等経済学院・東洋学スクールのアンドレイ・フェシュン准教授は、台湾有事が起こる可能性はそこまで大きくはないが、完全に否定できるものではないと述べている。
「米国は軍事紛争を防ぐべく努力しています。というのも、ウクライナ支援で多大な費用が嵩んでいるからです。米国は、2つの戦線で戦うほどの力を持っていません。中国は、米国が今、戦争を望んでいない立場を利用し、台湾が早晩、中国の一部になるとの世論を形成しようとしています。とはいえ、絶対に紛争は起こらないと断言することはできません。
そして、もしそうなった場合、米国は何より、日本にある軍事基地を必要とするでしょう。とりわけ、在日米軍基地は治外法権区域であり、日本の法の管轄下にありません。沖縄だけでも、3〜5万人の米軍海兵隊員がおり、それが戦闘区域に配置されることになります。そして日本は輸送における支援を行い、船や軍用輸送機を提供することになります。しかしこれらは中国のミサイルの標的となる可能性があります。日本人がこれを望んでいるのかどうかということについては誰も訊いてくれません。紛争が起こってしまえば、議論の余地などないのです。もちろん、日本は中国との軍事衝突は避けたいところでしょう。しかし、両国の間には中国の艦船が日本領海に侵犯したりせず、中国からの脅威が増強されなかったとしても、今後何年も続くであろう領土問題が存在するのです」
アンドレイ・フェシュン
露高等経済学院・東洋学スクール准教授