西側諸国によるウクライナへの兵器供与

ロシア軍は特別軍事作戦中にNATOのどんな兵器を奪い取ったのか?

ウクライナの欧米のスポンサーは図らずもロシアに装備品を提供することになった。もともとは米国とその同盟国がキエフ政権に供与した装甲車両や兵器などが、どんどんロシアに奪い取られている。
この記事をSputnikで読む
ロシアのショイグ国防相は今週、ウクライナ紛争の地帯でロシア軍が鹵獲したスウェーデン製歩兵戦闘車両CV-90を自らの目で見た。
CV-90は、そのクラスで最も現代的な戦闘車両の1つとして伝えられていたが、結果的に1960年代初頭に採用された携帯式対戦車擲弾発射器RPG-7から発射されたロケット弾によって故障し、乗組員が急いで逃走したあとに放置されたものとしてすぐさまロシア軍によって鹵獲された。

ロシア軍はNATOのどんな兵器を奪い取ったのか?

2022年2月にウクライナ紛争がエスカレートしてから数カ月後、ロシア軍による欧米の兵器や装備品の鹵獲に関する報告が届き始めた。
2022年6月、フランスの政治家レジス・ド・カステルノー氏は、フランスがウクライナに供与した自走榴弾砲「カエサル」2両がロシア軍の手に渡ったことを嘆いた。
これはロシアの有力な防衛請負業者の1つ、ウラルバゴンザヴォードによってすぐに確認された。同社は「カエサル」の獲得をSNSで認め、この予期せぬ贈り物に対する感謝をフランスのマクロン大統領に伝えるようド・カステルノー氏に頼んだ。
西側諸国によるウクライナへの兵器供与
西側は不満 ウクライナへ供与の軍事機器は大部分が損失=独マスコミ
また紛争地帯では、ウクライナ軍から奪い取った「ジャベリン」や「NLAW」などの欧米の携帯式対戦車ミサイルで武装したロシア兵の姿もよく見られるようになった。
今月初めにはある従軍記者が、そのような兵器を使用するロシア軍はNLAWの方を好んでいると報告した。悪天候時に「ジャベリン」が上手く機能しないのが理由とみられている。
またこの記者は、戦利品の重機関銃「ブローニングM2」で武装したロシア兵を少なくとも1回目撃したという。
一方、6月にウクライナが所謂「反転攻勢」を開始して以来、鹵獲した欧米の兵器に関する報告が著しく増えた。
この軍事作戦に携わる専門家たちは、ドイツの主力戦車「レオパルト」や米国製の歩兵戦闘車「ブラッドレー」をはじめとした北大西洋条約機構(NATO)の大量の装甲車両に期待していた。これらの車両は、ウクライナ軍がロシアの防衛線を突破するのに役立つはずだった。
しかし「反転攻勢」は散々な結果に終わり、反攻で使用された欧米の一部の兵器や装備品は、おそらくウクライナの軍事指導部の計画とは異なるかたちで、ロシアの陣地を通過することになった。
ロシア国防省は今年6月、ザポロジエ(ザポリージャ)州でロシア軍が数両の「レオパルト」と「ブラッドレー」を鹵獲したと発表した。
西側諸国によるウクライナへの兵器供与
鹵獲された戦車「レオパルト2」 ロシアにどのように調べられるのか
同省はこれらの装甲車両について、その一部はエンジンが無傷だったとし、乗組員が逃走するために単に乗り捨てられたとみられると指摘した。
またロシア国防省は同月、フランスがウクライナに供与した仏製装輪装甲車AMX-10RCの運命を明らかにする動画を公開した。AMX-10RCは、後退するウクライナ軍によって乗り捨てられた。
それから約1か月後、ロシア軍はザポロジエでも別のAMX-10RCを獲得した。地元当局はAMX-10RCについて、「ほぼ申し分のない状態」で鹵獲されたとし、ロシアの軍産複合体の専門家によってさらに詳しい調査が行われると発表した。
さらに、ロシア軍が奪い取ったのは小火器や装甲車両だけはない。ロシアの義勇兵部隊バルスー11と「ツァーリの狼たち」部隊は、ほぼ無傷の状態の英国製巡航ミサイル「ストームシャドウ」の鹵獲に成功している。
関連ニュース
【解説】米国、小型偵察ドローン「ブラック・ホーネット」を供与 ロシアの対抗策は
困った「鉄くず」の山 破壊車両の修理が間に合わないウクライナのパートナー=軍事専門家
コメント