西側諸国によるウクライナへの兵器供与

【視点】米軍需産業の評判は失墜 軍事専門家の予測は「エイブラムスは前線で使われない」

8月7日米CNNテレビは米軍の仕入部のトップのダグ・ブッシュ氏の声明を引用し、米国はエイブラムス戦車M1A1型のウクライナ供与第1弾の引き渡しに合意したと報じた。スプートニク・ラジオに出演したロシア人軍事専門家のイヴァン・コノヴァロフ氏はこの戦車供与について、果たして意味があるのか、また前線の戦闘にエイブラムスが使われるのかと疑問を呈している。
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「紛争の規模を考慮した場合、大隊に戦車エイブラムスが、しかも古い戦車が現れたところで何も変えることはできない。英戦車チャレンジャーの状況を思い出してほしい。これはエイブラムスより重量があるが、結局のところ、前線までは出されていない。世界の戦車で1,2を争う最優秀車両と評された独レオパルトがロシア軍に破壊された後、エイブラムスを前線に送り出すのは米軍需産業の評判を具体的に損なう。米国がこれに(編集:前線にエイブラムスを出すこと)踏み切るかどうかは大きな疑問だ」

イヴァン・コノヴァロフ氏
軍事専門家で政治学者
コノヴァロフ氏は、エイブラムスの到着は「ワシントンが支援し続けている証拠」としてキエフ政権には受け止められるだろうが、エイブラムスも英チャレンジャーと同じく、ウクライナ軍の予備軍機として保管されるだろうと見ている。
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ウクライナ用に送られるエイブラムス

米ポリティコ紙は7月末に出した記事の中で、米国がウクライナに供与するエイブラムスの第1弾は旧式のM1A1型が6から8台で、送られる戦車台数は合わせてウクライナの大隊に相当する31台と書いていた。
しかもエイブラムスはウクライナ軍に送られる前に独で「刷新」されるという。ロシア外務省外交アカデミーの軍事専門家ワジム・カジュリン氏はロシアのマスコミからの取材に、エイブラムスの改良版には機密技術を含む多くの先進技術が使われていることから、独での「刷新」とはつまり、ロシア軍の手に渡るのを防ぐため、機密装備を外すことではないかとの見解を表している。
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