同誌によると、米軍は2024年12月からグアムで海軍のイージス艦が迎撃ミサイル「SM3」の運用実験を行う。現在、米上院の承認を待っている。
ミサイル防衛局は弾道ミサイル、巡航ミサイルなどに対抗するための防衛網を構築するための予算として、24年会計年度に8億ドル(1150億円)以上を計上。使途にはレーダー、迎撃ミサイル発射装置、迎撃機、指揮統制システムの配備などが含まれる。
また、米陸軍も「パトリオット」をはじめとする各種ミサイル防衛システムの配備のため、3800万ドル(54億円)の予算を要求している。この地上配備型防衛網はルーマニアやポーランドに配備されている「イージス・アショア」とは異なり、グアムの複雑な地形でも機能するように適応させているという。
中国に睨みをきかせる重要拠点
グアム島は日本列島や台湾を挟んで中国と対峙しており、米国にとって戦略的に重要な後方拠点となっている。ここから飛び立つ爆撃機が航空自衛隊との共同演習を行ったり、島の基地が横須賀基地に司令部を置く第7艦隊の通信網をサポートしている。
望ましからぬ将来の米中戦争では、グアムが落ちれば対中最前線の日本に展開する米軍の活動が制限されることになる。グアムは最大射程4000キロの中国の弾道ミサイルの射程圏内に入っているが、ミサイル防衛能力の不足が指摘されてきた。そのため、米国はグアムのミサイル防衛網の強化を急ピッチで進めている。最終的な防衛網の確立は2029年を目処としている。
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