【視点】キャンプデービッドで開かれた会談 偶然の会合か新たな同盟か?

米ワシントン近郊の大統領山荘キャンプデービッドで開かれていた日米韓首脳会談が終了した。今回の会談が、何らかの国際的な会合の一環ではなく、個別の首脳会談という形で実施されたことは特筆すべきことである。このような理由から、今回の会談はすでに、アジア太平洋地域にとって「歴史的なもの」と評価されている。こうした会談がなぜ開かれたのか、またその主なテーマとなったのは何なのか。またもっとも重要なのは、その成果はどのようなものだったのか、そして実際、この会談は3カ国間の協力にとって新たな時代を切り拓くものとなるのかということである。
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複雑に絡み合う問題

雑誌「日本研究」、「東アジア:事実と分析」の編集主任、オレグ・カザコフ氏は、3カ国の首脳を結集させた理由は一つではないと指摘する。

「現在、複雑に絡み合った世界的な問題が発生しています。そこで3カ国の首脳たちは、新たな脅威に共同で対抗するため、より緊密な協力をすることになったのです。それは米国、日本、韓国が占めている地政学的立場に関するものです。

 しかもそれも一つではありません。対中国、対北朝鮮、そして(ウクライナ危機を念頭にした)対ロシア的立場です。米国、日本、韓国はアジア太平洋地域で大きな力を形成するための三角協力を築こうとしています。

 とはいえ、日本と韓国の間には長期にわたり、共通の歴史を原因としたきわめて緊張した関係が続き、両国ともに互いを激しく非難していました。そして、政治家たちも度々、互いを非難する声明を出し、両国を接近させまいとしていました。

 しかし、今、歴史問題を政治から切り離すべきときがきたのです。そこで、日韓関係には肯定的な前進が見られ、そしてこれは実際、両国にとって大きな意味を持つものとなりました」

オレグ・カザコフ
雑誌「日本研究」、「東アジア:事実と分析」編集主任
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一方で、この同盟の今後の展望に関しては、まだ疑問が残っているとカザコフ氏は続ける。
一方、ウクライナ問題は、キャンプデービッドでの会談において重要なテーマとなった可能性は低いとカザコフ氏は述べている。
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地域の分断

そしてこの戦略はこの地域の国々を2つの陣営に分裂させることになるとカザコフ氏は指摘する。
もちろん日本と韓国はまだこの道を歩み始めたばかりであり、その同盟関係は米国にとって、依然、厳しいものであり続けている。その原因は、両国の過去の歴史的意見の相違であるとカザコフ氏は述べている。

「日韓関係における『障害』はこれまで何度も、両国の歩み寄りを阻止し、前進を妨げてきました。しかし、今回は実際、アジア太平洋地域に新たな状況が生まれている可能性は除外できません。これは中国にとっては非常に嫌な動きです。

 中国は、地域に新たに縮小版のNATOが創設されることに反対し、不満を露わにしています。そこで、中国は、これに対抗し、BRICS方式の同盟を作ろうとしています。今、このやり方がどれくらいうまくいくのかについて評価するのは困難です。というのも、中国とインドの間にも、独自の『歴史問題』があるからです。しかし、もう躊躇する時代は過ぎ去りつつあります」

現在の世界情勢は激しく揺れ動いており、各国の政治家たちは厳しい決断を迫られている。なぜならその決定の裏には、さまざまな国の政治的野望と国益があるからだとカザコフ氏は締めくくっている。
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