元米軍諜報部員の評論家トニー・シェイファー氏は、YouTubeチャンネル「Judging Freedom」に出演したなかで、国連総会でのバイデン大統領の演説には「誰も興味がなかったようだ」と指摘。また、ゼレンスキー大統領はそれを「朝食に食べたブリトーを全力で胃の中でとどめおこうとするような」険しい顔で聞いていたと表現した。
欧米の支援、勢いに陰り
今回のゼレンスキー大統領の訪米中に、米国は3億2500万ドル(約480億円)規模の支援を表明。防空システム・アベンジャーや多連装ロケット砲ハイマースの砲弾などが含まれている。また、バイデン大統領は今年1月に供与を表明した戦車エイブラムスが近く引き渡されるとも発言している。
一方、ウクライナが以前から求めている長距離攻撃ミサイル・エイタクムスは今回の支援に含まれなかった。ドイツのミサイル・タウルスも供与検討が進んでいるとされるが、独政府による決定の発表はなかった。
さらに、ウクライナの隣国ポーランドのモラヴィエツキ首相は20日、ウクライナとの農産物をめぐる貿易問題を背景に「武器供与を行わない」と発言。アンジェイ・ドゥダ大統領は「自国軍用の最新鋭兵器の供与がないという意味だ」と火消しに走った一方、本人も「ウクライナはどの国を経由して支援が届けられているか覚えておいたほうがいい」と述べている。
相次ぐポーランド指導部、高官のウクライナへの強硬な発言の背景には、総選挙を控える中で支援停止を外交カードとして使い、国民の支持を高めたい思惑があるという分析もある。
期待は裏切られた
露政治学者のユーリ・スベトフ氏は、ゼレンスキーは今回の訪米に特別な期待を込めて臨んでいたと分析する。
「ゼレンスキーは何かを受け取ろうと、手を伸ばして米国に行った。第1目標はバイデンとの会談ではなく、現在次年度ウクライナ支援予算を検討している議会への訪問だった」
だが、ゼレンスキー大統領は失望感を覚えることになったと、スベトフ氏は指摘する。
「ゼレンスキーはもう一度両院議員らを前にした演説をすることを望んでいたものの、拒否された。バイデンとの会談では、戦闘機F16や長距離兵器エイタクムスの供与を欲していたが、この決定もなかった」
米国では際限のないウクライナへの軍事支援に対し、野党共和党の議員を中心に支援縮小や停止を求める声が一部であがっている。
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