ネイチャー誌に掲載された2018年の研究では、科学者たちはネズミの脊髄損傷後の神経繊維(神経細胞どおしをつなぎ、コミュニケーションを可能にする細い繊維)の成長を誘発する方法を発見した。ところが、神経線維の再生に成功したにもかかわらず、マウスの歩行能力はもどらなかった。
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校、ハーバード大学、スイス連邦工科大学が参加した新たな研究では、神経線維の成長を誘発するだけでなく、神経線維に方向性を与えることも重要であることが明らかになった。そのために、特別な化学シグナルを使用したところ、マウスの運動能力が大幅に回復した。
研究ではまた、高度な遺伝子解析を用いることで、脊髄の部分損傷後の歩行改善を促す神経細胞群が特定された。
科学者たちは、今回の研究成果は大型動物やヒトの神経機能回復のための治療法の開発に大きな展望を開いたと指摘している。
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