【視点】日本、CO2をマレーシアに貯留へ その効果は?

日本は自国の二酸化炭素(CO2)を回収して地下に貯留するプロジェクトを2028年にマレーシアで開始する予定。報道によると、液化したCO2はタンカーで輸送される計画。マレーシアにあるCO2地下貯留施設を利用することで、日本はCO2の10~20%を削減できると期待されている。スプートニクは、ユネスコ後援の持続可能なエネルギー開発国際センターの専門家で、「カーボンCO2ラボ」社の創設者及び最高経営責任者(CEO)のミハイル・ユーリン氏にインタビューし、この方向性における日本の行動はどれほど効果的か質問した。
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日本が初めてではない

二酸化炭素の増加は地球規模の気候変動につながるため、日本は2050年までに二酸化炭素の排出をゼロにする目標を掲げている。しかし、どうやって実現すればいいのだろうか?

「選択肢の1つは、特殊な装置を使って(主にガスや石炭の)発電所の排ガスからCO2を『回収』することだ。そして、それを液体にして、液体の状態で目的の貯留施設にタンカーで輸送する。貯留施設は、海底にある場合がある。または、枯渇したガス田や油田なども用いられる。事実上、空洞が形成された場所ならどこでもCO2を運んで封じ込めることができる。しかし、この道を歩んでいるのは日本が初めてではない。Total、Wintershall、Equinorなどの企業が欧州大陸ですでに同じようなプロジェクトを複数実施している」

効果は議論の余地がある?

一方、おそらくアジアでは日本がこの方法を試す最初の国となる。しかし、実際のところ、この方法は極めて高価だ(タンカーによる輸送のため)。

「1つ目に、最大20%の削減では少ない。2つ目に、液化CO2の貯蔵容器はすぐにいっぱいになってしまう。したがって、これと並行して石炭を完全に放棄するということになる。すなわち、すべての石炭火力発電所を閉鎖して、太陽光などの代替エネルギー源に切り替えるということだ。なぜなら、例えば、ロシアでは、現在利用可能な空隙貯蔵施設の容量は、処理されたCO2約45億トン分しかないからだ。また、ロシアはCO2を年間20億トン排出しているが、外国でのロシア産燃料燃焼による排出量と合わせると40億トンとなる。つまり、大気中に放出させずにすべて回収した場合、保管施設の容量は1年分しかない。したがって、マレーシアの保管能力も限られている」

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将来のために予備をとっておく

ユーリン氏は、CO2の排出問題を効果的に解決する方法が必要だと指摘している。

「なぜならCO2は(遅かれ早かれ)特殊な技術設備を使って大気中から直接回収することになるからだ。つまり、パイプの近くだけではなく、可能なところでは空気から直接回収する。そして液化して、石灰岩のような石に変える。または、液体から固体に変える試剤と一緒に貯蔵場所に置く。なぜなら大気中のCO2濃度は、いずれにしても許容値を超えているからだ。したがって、限られているCO2貯留能力の予備を今は使わないほうがいい。それらは、大気から直接回収するようになったときのためにとっておくべきだ。それまでは、さまざまな種類の燃料を、CO2の排出に関係しない、より環境に優しいエネルギー源に置き換えることだ」

ユーリン氏は、CO2排出量削減に関するすべてのシナリオを実行するのは難しいという見方を示している。

「地球の気温を2015年のパリ協定の範囲内に抑えるためには、すべての国が『ブレーキを踏む』必要がある。しかし、これは不可能だ。人類はしばらくの間、引き続きCO2を大気中に排出することになるため、この時間を効果的な技術の開発に費やしたほうがよい。例えば、火力発電所から排出されるCO2を大量に含むガスは、プラスチックや肥料に加工できる。一方、貯蔵は最も簡単な方法だが、あまり有望な方法ではない」

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