IMF内の「ウエイト拡大」する中国経済
「つまり、貿易や為替レートなど、世界経済の流通を維持する上で、その国がどれだけ重要な役割を担っているかということです。中国はかなり前からIMF内の地位の向上を狙ってきましたが、一部のIMF加盟国からの抵抗に突き当たってきました。一番抵抗が大きかったのは米国です。IMF内の地位とクォータ(出資額)は具体的な計算式に基づいて算出され、GDP、対外貿易におけるその国の地位、世界の流通における当該国通貨の重要度、金と外貨準備高から算出される。GDP、対外貿易におけるその国の地位、世界貿易における自国通貨の重要性、金外貨準備高などが考慮されます。中国は長い間、すべてのポジションで優れた指標を示してきましたが、いくつかの指標は国民1人当たりのGDP比率が相対的に考慮されています。
つまり、中国の場合は14億人で割った数値となることから、これがIMFの『ヒエラルキー』で中国の地位を引き上げる障害となっていました。
ところが中国経済はそうした成功はすでに収めており、これはもはや障害ではありません。中国は通貨の購買力でも対外貿易や輸出高でも首位に立ちました。生産量(100種類以上)でも世界第1位で、各国の国際決済で人民元が使われる機会も増えています。したがって、世界経済のランドシャフトにおけるこうした変化がIMFで中国が(米国に次いで)2位を占めることを許しているわけです」
日本は立場を失いつつある
「日本の世界の生産におけるシェアは縮小しており、国内の経済指標も悪化しています。日本経済がそれほど『困難』とはいえなくても、重苦しい『不況』の時代を迎えていることはインフレ率を見れば明らかです。したがって、世界の流通で円が使われる機会もますます減っており、IMFの経済ヒエラルキーに占めていた名誉ある地位から徐々に『追い出されつつあり』ます。とはいえ、この事実が日本経済に直接悪影響を及ぼすことはありません。というのも、日本は支援を必要とする事態に陥っても、IMFの融資を受ける上で有利な立場を保っているからです」
ドルの権威は下がっているか
「その結果、より安全性の高い人民元への切り替えを多くの国が検討し始めています。今のところ、まだドルは強い通貨ですが、これは世界最大の米国国民経済に依存しています。ところが米国の通貨が通用する範囲は狭まりつつあり、明らかに縮小しています。一方、中国は購買力平価ですでに米国を上回っており、この傾向が続けば将来、米国がIMFの第1の座を中国に明け渡す可能性もありえます」