西側の失敗と多極世界
メキシコのプエブラ自治大学のフンベルト・モラレス氏(経済・政治史)はロシアは西側諸国の地政学的圧力をはねのけるだけの経済力を得たと指摘する。
モラレス氏によると、西側諸国は失敗を犯した。なぜならロシアを孤立化させる試みや経済制裁は、西側諸国の経済的困難という逆効果を招いているからだ。
「西側諸国はエネルギー紛争や穀物、その他資源の高騰で苦しみ、各国がインフレが起こっている。つまり、彼らの行動に成果はなかったのだ。ロシアは自らの力で耐え抜くことができ、国際舞台で恐れたり隠すものは何もない」
さらに、「ロシアは孤立を防いだだけでなく、強力な経済をつくった」とモラレス氏は続ける。人口や内需の規模、インフラなどがその経済の堅牢さを示しているという。
プーチン大統領が提案する多極世界については、各国の主権尊重や「西側の略奪」の終焉につながると指摘する。
「多極世界は主権や独立性、民族自決の問題を抱える国々が、対等な立場で交渉のテーブルに着くことを可能にし、これによって国際関係のバランスが確立されるだろう」
米中対立のなかで
メキシコ首都自治大学のマウリシオ・エステベス博士は(国際関係学)は、ウクライナ紛争はより大規模な米中対立という問題を背景に起こっていると説明する。米政府はオバマ政権時代から幾度もなくあらゆる分野で中国の影響力を抑えようとしており、アジアの国々を巻き込んだ軍事枠組みの発展も進めている。
こうしたなか、中国とロシアの協力は進み、経済発展のポテンシャルについても安全地帯を設けることにつながる。
「ロシアと中国の直接協力だけでなく、中国が他の地域で行うプロジェクトでの両国の経済安全保障協力がなければ、中国が中央アジアなどで行うイニシアチブは成功し得ない」
このため、ロシアを弱体化するという西側の試みは、露中協力にも及ぶ。これは軍事的なものまでには発展していなくても、重要な地政学的意味を持つものとなっている。
「西側と他の地域との対立は、ロシアとだけでなく、中国も対象となっている。これは止まることがなく、我々は大戦争勃発の可能性を含むさらなる対立の発展を目の当たりにすることになるかもしれない」
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