現代の処理施設では、産業廃水からすべての化学物質を除去することはできない。なぜなら、一般的に最も有害な化合物の一部は、外部からの影響に対して極めて強い耐性を有しているからだ。その結果、有害な化学物質は河川、小川、灌漑システムに流れ込んでしまう。これは生態系における生物多様性の減少や、食料及び水の汚染を引き起こす。
研究チームはミジンコを研究し、この微小生物が細菌や藻類の粒子だけでなく、化学物質をも積極的に摂取し、それによって生息している水をろ過していることを発見した。研究チームは、ジクロフェナク、アトラジン、ヒ素、PFAS(ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物)などの有害な化学物質を水生環境から除去するのに最も効果的な4種のミジンコを選び出し、それらのクローンを作成した。
その後の実験で、ミジンコがジクロフェナクを90%、ヒ素を60%、アトラジンを59%、PFAS を50%を吸収したことが示唆された。自然条件下でも同様の結果が得られた
なお、ミジンコは、化学物質を含む栄養素の量に応じてその個体数を維持しており、食べ物の量が減ると、繁殖を停止するという。Science of the Total Environmentは、これらの化学物質をこれほど効果的に分解、ろ過する方法は現在存在していないため、今回の発見は環境保護における画期的な前進だと指摘している。
これより先、世界中のトイレットペーパーから「永遠の化学物質」と呼ばれているPFASが検出された。
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