米支援第1弾が到着
10日夜、米国の弾薬支援第1弾を積んだ軍用機がイスラエルに到着した。また、米軍は空母ジェネラル・フォードを東地中海に展開して即応体制を整えているほか、別の空母ドワイト・アイゼンハワーの追加派遣も検討している。
2国支援めぐり駆け引き
米下院の共和党勢力はウクライナ支援に反対を示す一方で、イスラエル支援には前のめりとなっている。バイデン政権はこれを利用し、イスラエルへの緊急支援とウクライナ支援を統合し、1つの予算として議会を通そうと計画している。
バイデン政権はイスラエルへの軍事支援を確保するため、上下院幹部らと会談したとされている。早ければ来週にもイスラエル・ウクライナ連動支援予算案が提出される見込みだ。
米国防総省・元上級安全保障分析官のマイケル・マルフ氏は、スプートニクに対し「米国の資金はイスラエルにより多く振り向けられる」と語った。
「米国民はウクライナが反転攻勢を成功させられず、数十億ドルの支援が費やされただけで何も成果が出なかったとみている。欧州人も同じような考えだと思う。欧州は厳しい冬が近づくにつれ、自らの生き残りをかけて内向きな政策を進めるだろう。米国の支援についていえば、議長が決まらない限り何も進まない」
イスラエル支援がどれほどの規模になるかは判明していないが、マルーフ氏はイスラエルの米政権へのロビー活動は、ウクライナのそれよりかなり強いものだと指摘する。バイデン政権はイスラエル支援に先立ち、1000億ドル(14兆8730億円)のウクライナ支援を検討していた。だが、共和党には懐疑的な意見を持つ議員も多く、一部強硬派はイスラエルとウクライナの支援は別問題と考えるべきだと主張している。
「確証はないが、上下院で資金の大部分をイスラエルに提供し、ウクライナに少しを提供する雰囲気が醸成されない限り、バイデン政権が出す予算案は提出した瞬間に否決されることになると私は思う。特に共和党と米国民は、率直に言ってウクライナにうんざりしている」
同時支援は可能か
これまでに米国家安全保障会議のジョン・カービー戦略広報調整官は、米国にはウクライナとイスラエルの両方を同時に支援する能力があると述べている。だが、マルーフ氏は実際にはそうではないとみる。
マルーフ氏はイスラエルとハマスの紛争が「イスラエル・パレスチナの間だけでなく、それよりはるかに大きな規模の衝突になる可能性がある」と指摘する。米国はウクライナでロシアと、中東でハマスやイスラム勢力とそれぞれ対立し、それと同時に台湾では中国を挑発している。つまり、3つの戦場で同時に対応する必要性が見え始めているのだ。
「ウクライナではすでに、米国の支援遅れが指摘されている。こうしたなか、台湾防衛と軍事支援に踏み切れば、3正面で同時に戦う潜在的可能性を検討しなくてはならない。どうしたらこれに対応できるのか、私には想像もつかない。イスラエルに催促されればイランへの爆撃ということもあり得る。世界は炎に包まれる。残念なことに、私が過去に最悪のシナリオを想定したときには、全てそれが現実のものになったのだ」
関連ニュース