長時間労働はうつのもと
厚生労働省が発表した過労死白書によると、労働時間が長くなるにつれてうつ病や不安障害に至る割合が増加する傾向があると指摘されている。うつ病、不安障害の疑いやその傾向があるケースを含めると、1週間の実労働時間が20~40時間の場合は35.4パーセント(%)、40時間以上の場合は42.0%、60時間以上の場合は49.0%となっている。
長時間労働とうつ傾向・不安の関連性
© 写真 : 厚生労働省・過労死白書
疲れの持ち越しも危険
また、長時間労働による睡眠や休息の不足によって、前日の疲労を翌朝に持ち越す頻度が多いと、心身に悪影響を与えるリスクが高いとも指摘されている。「一晩睡眠をとればだいたい疲労は回復する」と回答した人のなかでうつ病・不安障害の疑いがあるのはわずか9.7%だったのに対し、「翌朝に前日の疲労をいつも持ちこしている」と回答した人では59.9%だった。
疲労の持ちこしとうつ傾向・不安の関連性
© 写真 : 厚生労働省・過労死白書
働きすぎると不幸になる
さらに、1週間あたりの実労働時間別の主観的な幸福感でも、「労働時間が長いほど不幸」と感じる割合が高いことが分かった。10段階評価で幸福度が8以上と答えた割合は、労働時間が20~40時間の場合は45.5%、40時間以上60時間未満が35.5%、60時間以上が33.4%だった。一方、幸福度が3以下の割合はそれぞれ、10.7%、12.4%、16.2%となっている。
労働時間と主観的幸福感の関連性
© 写真 : 厚生労働省・過労死白書
このように、いかに長時間労働が心身の健康に害悪であるかが数字で示されている。過労死白書では勤務間インターバルや有給取得率の向上の必要性についても言及されているが、これらは雇い主側の問題であるため労働者の努力で解決されるものではない。
手遅れになる前に相談を
この記事を仕事終わりのへとへとな状態で読み、明日も休日出勤だという読者は要注意だ。心身の異常を感じているのであれば、手遅れになる前に所属する企業や公的機関、心療内科などの専門家に相談することが重要だ。
厚生労働省は、労働者向けメンタルヘルスの窓口「働く人のこころの耳相談」を設けており、電話、SNS、メールなど様々な方法で相談ができる。また、同省は違法な時間外労働の強制や有給の取得拒否など労働条件をめぐる問題には、「労働条件相談ほっとライン」を設けて対応している。
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