「経済」を連呼
TBSなど日本の各メディアが本会議の様子を生中継した。岸田首相は演説で政策の「一丁目一番地は経済」と強調し、経済対策を強化する意志を示した。
「30年来続いてきたコストカット型の経済からの変化が起こりつつある。この変化の流れをつかみとるために、持続的で構造的な賃上げを実現し、官民連携による投資を積極化させていく。経済!経済!経済!私は何よりも経済に重点を置いていく」
また、インターネット上で「増税メガネ」などと揶揄されていることを受けた対応なのか、様々な減税や経済対策措置を列挙した。9月に発表した新経済対策の内容に合致しているが、本国会でどれだけ具体化し、実効性のある措置がとれるかが焦点となる。
賃上げ税制や減税措置
初期投資にとどまらない投資減税
特許に関する減税
中小企業の省力化投資のための補助金
「年収の壁」対策
税収の還元と物価高対策
また、現在の日本経済の問題点に言及した際には、「お前ら(編注:自民党)のせいだろ」「まず謝れ」と野党議員からとみられるやじも飛んだ。
外交・安全保障
対中外交では、建設的かつ安定的な関係を目指し「主張すべきは主張し、協力できるところは協力する姿勢を貫く」とした。日中間の懸案事項となっている福島第一原発から出る処理水海洋放出の問題では、「科学的根拠に基づく透明性の高い情報発信をしていく」とし、中国の輸入制限は即時撤廃を求めるとした。
韓国とは尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領との個人的信頼関係に基づき、幅広い協力を進めていると強調。また、8月のキャンプ・デービッド会談をふまえ、「唯一の同盟国」たる米国を含めた3カ国での戦略的連携を促進するとした。
対露外交については、ウクライナ情勢を受けた「大転換」を進めてきたと強調。一方で、「日露関係は厳しいが、領土問題を解決して平和条約を結ぶ方針は堅持する」と述べた。
北朝鮮に関しては、拉致問題が最優先課題としたうえで、「諸問題を解決すべく、金正恩委員長との首脳会談実現のため、首相直轄のハイレベル協議を進める」と発言。日朝双方の利益に合致し、地域の安定に寄与する関係を築くため、大局観に基づく判断をしていくと強調した。
また、外交的足場を固めるためにも「日本自身の防衛力強化が必要」との考えを表明した。5年間で43兆円の防衛力を確保し、抜本的強化を目指すと従来の方針を改めて示した。また、財源については「増税」という言葉を避けつつ、「防衛力強化のための税制措置の実施時期については、行財政改革を含めた財源調達の見通し、景気や賃上げの動向及びこれらに対する政府の対応を踏まえて判断する」と述べるにとどめた。
国民の反応は
インターネット上では日本国民からの様々な反応がみられた。ヤフーニュースのコメント欄では、岸田政権の経済政策への実効性のなさを指摘する声が相次いだ。
「岸田総理は、経済対策、経済対策と声高らかに何度も叫んでいるが、世の中の生活は一部の内部留保が出きる企業と政治家、高額所得者だけが良くなり、多くの国民が困っている」
また、「経済」という言葉を連呼したことを、冷ややかに分析するコメントもあった。
「岸田首相が所信表明で多用した『経済』という言葉ですが、繰り返し同じ言葉を使うのは広告で印象付ける基本テクニックです」
さらに、選挙や投票の重要性を訴える投稿もあった。
「選挙前の票取りのためのパフォーマンス。多分、対策も減税もします。でも増税もします。色々言いたいことはありますが、1番言いたいことは、選挙に行きましょう。国民が皆投票することで政治は変わります」
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